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 高校3年の少年(当時17)が自殺したのは長崎県警の不適切な取り調べが原因だったとして、長崎市の母親(54)が16日、県を相手取り、約4300万円の国家賠償を求めて長崎地裁に提訴した。

 母親の代理人弁護士によると、少年は昨年8月22日から行方不明になり、同県島原市の山中で首をつって死亡しているのが見つかった。遺体の近くにあったスマートフォンのメモ機能に、警察の取り調べで犯人視されたことを訴える遺書が残っていた。

 自転車の盗難に関与していないと正直に話したのに、警察官から「いまのうちに本当のことを話さないと友だちに迷惑がかかる」などと脅迫めいたことを言われた、と記していたという。

 少年は、行方不明になる9日前の昨年8月13日、JR諫早駅で自転車の鍵を拾い、その鍵が使われている自転車も見つけた。自転車に、自分が通う高校のステッカーが貼ってあったため、学校に持って行こうと同級生にこの自転車を使うよう促した。だが、自転車に盗難届が出ていたため、少年は同月19日に諫早署で約4時間、事情を聴かれたという。

 代理人弁護士は、警察官の言動は少年への配慮を欠き、非行少年への対応などについて国家公安委員会が定めた少年警察活動規則などに反している、と指摘している。

 一方、県警監察課は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。(小野太郎)