原子力規制委員会は16日、九州電力が再稼働に向けた安全審査を申請していた川内原子力発電所1、2号機(鹿児島県)について、事実上の合格を決定した。東京電力福島第1原発事故をふまえた新たな規制基準を川内原発が初めてクリアした。九電は今秋の再稼働をめざすが、地元自治体の同意が残る課題になる。
同日の定例会合で、5人の規制委員が合格証案にあたる「審査書案」をまとめた。審査書案は川内1、2号機は新規制基準に「適合している」と結論付けた。
8月15日まで国民からの意見を受け付け、規制委が8月下旬にも正式に合格を決める。設備の検査や地元自治体の同意などの手続きを済ませれば再稼働が可能になる。昨年9月以降、国内のすべての原発が運転を止めている。原発再稼働が進めば、不足気味の電力を安定して供給しやすくなる。
審査書案は川内原発が新規制基準に適合しているかどうかを規制委が項目別にまとめ、全体で418ページある。東日本大震災を教訓に厳しく見直した地震・津波対策では「基準に適合している」と判断。川内原発の施設は最大級の揺れや津波に耐えるよう造ってあり、安全機能が損なわれることはないと記載した。火山のリスクに関しては九電の監視体制を「妥当」とし、安全性に影響を及ぼす可能性は十分小さいと見積もった。
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