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世界最長の「ピッチドロップ」実験の、最短の観察方法

ピッチドロップ実験は1927年に始まり、いまもずっと続いている「世界最長の実験」だ。このたびあるロンドン大学の教授が、教育のために、そのショート・ヴァージョンを実現した。

 
 
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TEXT BY SIMONE VALESINI
TRANSLATION BY TAKESHI OTOSHI

WIRED NEWS (ITALIA)

ピッチ(黒色の樹脂)で満たされたガラスの漏斗。ピッチはゆっくりと漏斗の下へと滴り落ちる。そう、非常にゆっくりと──約8〜9年ごとに1滴、というスピードだ。

いわゆる「ピッチドロップ実験」は1927年、オーストラリアのクイーンズランド大学の物理学教授、トーマス・パーネルが立ち上げた。開始から86年が経って落下したピッチは9滴。実験は依然継続中で、これまでに進められた最も長い科学実験となっている(この記録により、今のところ、イグ・ノーベル賞ギネス世界記録を獲得している)。

この実験の目的は、環境温度では固体のように見えるピッチが、実際には非常に粘度の高い「液体」だと示すことにある。漏斗の中におくことで「滴り落ちる」ことを証明するものだ。

実験の教育的重要性に感銘を受けたロンドン大学クイーン・メアリーの物理学教授、コスチャ・トラチェンコは、学生たちがピッチの滴の落下に立ち会うことができるように、より短いヴァージョンをつくり出すことを決意。そしてこの試みは、雑誌「Physics Education」で報告されているように、成功を収めた。

「ピッチドロップ実験の意義は、学生たちにインスピレーションを与えることにあります。固体と液体の本質的な性質について、彼らのなかに『疑い』の気持ちを引き起こすのです」と、トラチェンコは説明する。「特殊なセッティングを施すことで、十分な時間があれば、見かけ上は固体に見える物体も液体のように流れることを示せるようになります。十分な時間というのは、1学年です」

※この翻訳は抄訳です
 
 
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