世界少数精鋭エンジニアのIBMフェローがリアリティ番組に出演したら、科学の真髄が分かった
何者なんだ、この人は!?
上の動画で絞り染めの服を着ながらエンジニアリング・ラップをきめているのは、IBMエンジニアの最高職「IBMフェロー」の1人、ジョン・コーン博士。IBMフェローとは、世界中のIBMに在籍している大勢のエンジニアの中でも専門分野でトップの功績を残した人にしか与えられない称号で、現在世界中でわずか70数名しかいないトップクラスのエンジニアだそうです。来日が決まってお会いする機会をもらえたので、コーンさんが考えるエンジニア精神についてお聞きしてきました。
「自分はNerd(オタク)なんだ」と自称するコーンさんはIBM在籍33年目。現在はエンジニアとしてIBMの「スマーター・シティー」イニシアチブやオープンデータ、リアルタイム・データ解析、マシーンコミュニケーションの物理的インフラ開発を行なっています。2005年には米国最大の電気電子学会IEEEで、高性能なカスタムチップの自動設計が評価されてフェローに選出されている、エンジニアリング一筋の人です。
IBMでの活動以上にコーンさんのモチヴェーションとなっているのは、「どうしたら人はイノヴェーションについて考えるか」と「エンジニアリングに興味を持ってもらえるか」の2つだそうです。アメリカでもエンジニアの学生が減っているそうで、いつもエンジニアリングやサイエンスの面白さや革新性を若者に伝えられるか、そればかりを考えているとのこと。冒頭のパロディ・ラップ(元ネタは動画もその一貫)。
なんとコーンさんはアメリカではリアリティ番組にも出演していました。番組に出演したのも、テレビを通じてサイエンスの面白さを視聴者に示したいという気持ちがあったからだそうです。番組内でも廃棄されたエンジンやソーラーパネルを使って電力を起こす装置や木材が燃料のガス化装置を作ったりして、サイエンスの可能性を見せました。
コーンさんがエンジニアリングやサイエンスを学ぶ上で大切にしていることをこう表現します。
Do try this at home(家ではまねしてください)
これは、面白いものを見たり楽しいことを体験すれば、失敗を繰り返しながらも自分のクリエイティブな部分が刺激されていくとのこと。普段なら親や学校の先生が子供に伝えていることと真逆のメッセージですが、面白いと感じた自分の感情を素直に向き合うことが、イノヴェーションやクリエイティビティを刺激するエンジニアリングやサイエンスには重要だと教えてくれました。
大人になってどこかへ行ってしまった探究心や好奇心。好きなことに向き合う子供心を忘れないことって大事なんだなと改めて気付かされました。
TEDの動画もどうぞ。
(鴻上洋平)