旅客船沈没:「地球上のあらゆる救助技術を動員」

事故発生から3カ月、残るは船室一つ

 セウォル号事故は韓国の水中捜索の歴史においてあらゆる記録を塗り替えた。事故海域に投入された潜水士は延べ3万9904人だ。さらに、艦艇1万3210隻と航空機2002機が投入され、入水回数も1717回を記録した。事故直後から論争を呼んでいた「ダイビングベル(潜水鐘)」をはじめ、遠隔操作無人探査機(ROV)・ソナー・水中人工呼吸器など、ありとあらゆる水中探索技術が動員された。ファン・デシク海洋救助協会本部長は「地球上のほぼ全ての技術を動員したと考えていい」と話した。

 行方不明者11人を見つけるため、汎政府事故対策本部ではこのほど、「電子の鼻」技術まで動員した。水中の死体が腐敗すると海水に通常よりも多く「リン」という成分が溶け出す。これを分析すると、捜索対象の船室に遺体があるかどうかが判断できるというものだ。現在までに39の船室から海水標本を採取して通常の海水と比較・分析したが、まだ成果はない。さらに、「ナイトロックス(Nitrox)ダイビング」という新しい潜水法も導入された。酸素含有量を30%以上に引き上げる一方で窒素の割合を下げた気体を供給し、潜水時間を従来の30分から1時間にまで増やすことができるというメリットがある。対策本部のイ・ピョンヒョン報道担当は「酸素中毒などの危険性を懸念する声もあるが、行方不明者の捜索のためならどんな方法でも動員しなければならないのでは」と語った。

 対策本部は「あらゆる手段や方法を動員し、最後の一人まで捜索を続ける」と話している。しかし、捜索作業が長引くにつれ、潜水士たちの体力や精神力は限界に達しつつある。捜索に参加している潜水士は「私たちは我慢できるが、家族たちは『毎日水の中に入っている夫や父に万一のことがあったらどうするのか』と不安を募らせている」と語った。現在までに負傷した潜水士は89人。現場の潜水専門家は「できることは全てやり尽くした。行方不明者家族の気持ちは理解できるが、私たちも本当につらく、切なく、そしてもどかしい」と話した。

ウォン・ソンウ記者
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