イギリスのフィナンシャル・タイムズが自サイトのディスプレイ広告販売を、CPM方式からユーザーの滞在時間に基づいて販売することに変更することを発表した。
これもchartbeatやUp worthyを始めとした、コンテンツの価値をPV以外で測ろうとするメディアの試みの1つ
元記事:The Financial Times on Why They Ditched CPMs For a New Ad Currency: Time Spent
“Engaged time” はの大きなバズワードの1つになった。パブリッシャーやブランドが人々がそのコンテンツに費やした時間の価値を正確に測るためのいくつかの効果測定基準を探し求めていたからだ。
Creativity Weekでも、コロンビアでのData Conferenceでも、それはホットトピックだった。しかし広告が実際にCPMやClickを超えた何かに基づいて売買されないかぎり、それはただの話の種にすぎなかった。
しかし、やっとメディアは大きなブレイクスルーを見ることができる。
The Financial Timeはディスプレイ広告を、オーディエンスがコンテンツに費やした時間に基づいてディスプレイ広告を販売することを近日発表した。
イギリスの新聞社はこれによってviewabilityの問題(広告業界を悩ませてきた)を解決させ、さらにオーディエンスを深くエンゲージさせてきたThe Financial Timeの価値を適切に測定することができるだろうと見ている。
The Financial Time 社のcommercial director of digital advertisinのJon Sladeによると、The Financial Timeの読者は同じようなビジネス系のサイトの6倍も時間を費やしているという。
この戦略シフトは The Financial Times が広告の将来を広い視点で見ているという証拠だ。
SladeはThe Financial Timesが様々な要素から自分たちのブランドの価値をはっきりさせようとしており、広告の指標としてメディアの質、時間を使うことでその目的を果たせるとしている。
「Quality(質)は良質なサービス・アイディア・そして適切な指標にによってもたらされる」とsladeは言う。
私達の会話全文は以下に続く
Q なぜ今回の取り組みを行ったんですか?
これはまだ実験段階であり、私達は仮説を検証したいのだ。”もし誰かにブランドクリエイティブを見てもらえば見てもらうだけ、そのコンテンツはオーディエンスに反響をもたらすかどうか”という仮説だ。
これはどのように私達が広告の価値を測るかというのではなく、attetion経済についての話だ。私がこれを気に入っている理由は、私達がオーディエンスに手間をかけ、かれらのエクスペリエンスを高めたという結果が直接伝わってくるからだ。ちょっとしたカードで遊んでるようなものかもしれない。
ブランドの広告が1秒だけ見られたのと5秒見られたもので、全く効果に違いがないということを正直に言っているだろうか?ブランドに費やされた時間の価値を測り始めようというのはもっともなことだ。
Q なぜこのタイミングで始めたのですか?技術の進歩のおかげ?
確かにテクノロジーは十分に熟した。加えて「広告が見られていないとしたら、それは料金を支払われるべきではない」といったviewabilityについての議論や考え方も一般的になった。
しかし最も大切なことはブランドやエージェンシーにとって徐々に質を求めはじめたということだ。私たちはすでに広告が当たり前になってしまった時代にいて、ブランドもそれを安く買える方法を知ってる。
しかし必ずしも安さを求めて広告が買われるわけではない。質は良質なサービスとアイディアと適切な指標によってもたらさせる。
そして私達はこのシフトがその条件に会っていると考えているんだ。
私達の取り組みは現実的なロジックで成り立っている。
Financial Timesの読者は他のビシネスニュースの読者よりも、6倍も多くの時間を費やしている。
「30,000時間もの読者の時間をFinancial Timesはもっている、その読者の時間とコミュニケーションと思いませんか?」
とブランドへ声をかけることができるのだ。
Q この指標は上手くいくのでしょうか?
夏の間にこの取り組みで2つの要素を試してみたい。
まずはオペレーションだ。どのように広告在庫を見つけ、それを上手くとどけられるか。時間が私達の効果計測の指標であり、その最小の指標が5秒からだという過程から動いている。
私達の夏のタスクは、どのようにすればその5秒間を見つけ、それを正しい方法で最高責任者レベルの経営幹部に売れるか決めることだ。
2つ目の実験は私達の行動が効果を証明できるかということだ。
私達がこれを行うことで、ブランドに良いインパクトを与えたかを証明できるだろうか?
私達はリサーチ会社とテストを行い、以前のPV指標と比べ、どの程度の表示時間がもっとも買う価値があるのかをテストする。それが成功すれば自分たちのメディアの価値を証明できるだろう。
Q コンテンツマーケティングでもこの取り組みを使う予定はありますか? Howtospenditを始めとしたコンテンツマーケティングの実験を既にやってるようですが…
最終的には、私達のメディアが持つオーディエンスの全ての時間と効果を投入したい。正しい効果指標を測定し分析するといった行為はコンテンツマーケティングでも役に立つはずだ。
ブランドにストーリーを語らせるためのコンテンツマーケティングはワンダフルなメカニズムだ。私達はそのやり方に賛同している。
コンテンツマーケティンはこの取り組みと相性が良く、もちろんそれ自体がビシネスとして良い結果につながるはずだし、オーディエンスにも良い結果を与えることに繋がるはずだ。
メモ
記事本文には「滞在時間に基づいて販売することがブランドにとってメリットがあるか確かめたい」とのことがあったけど
広告が視界に入ってる時間が長ければ長いほどブランドへの効果は良いって調査結果をMS・Google・chart beat当たりが出しているそうな。
合わせて読みたい:ページビューを死滅させる指標とは何か? | 藤村厚夫 Media Disruption