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 福岡県粕屋町で、紀元700年前後の地方政庁の跡とみられる遺跡が見つかった。粕屋町教委によると、「糟屋評(かすやのこおり)」と呼ばれる政庁跡とみられ、律令国家形成期の地方支配を考えるうえで貴重な遺跡という。町教委は19日午前10時から現地説明会を開く。

 遺跡は、同町阿恵の九大農学部付属農場の移転確認調査で発掘。町教委が昨年7月から調査を始めていた。東西300メートル、南北100メートルの範囲で、政庁跡と倉庫跡がセットで見つかり、「糟屋官衙(かんが)遺跡群阿恵遺跡」と名付けられた。

 政庁跡は1辺55メートルほどのコの字形に並び、5棟の建物を確認。倉庫は高床式で6棟見つかり、税として集めた米などを収納する「正倉」とみられるという。

 糟屋評については、698年に鋳造されて京都・妙心寺に残る鐘(国宝)に「糟屋評造舂米連広國(つきしねのむらじひろくに)」の銘があることで知られている。「評造(こおりのみやつこ)」は、当時の地方政庁の長官を意味したとされる。(馬郡昭彦)