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首相「米の要請でも戦闘派遣ない」
7月15日 19時03分

首相「米の要請でも戦闘派遣ない」
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安倍総理大臣は、参議院予算委員会の閉会中審査で、集団的自衛権の行使にあたっては、同盟国のアメリカからの要請があったとしても、イラク戦争や湾岸戦争などの戦闘に自衛隊を派遣することはないとしたうえで、今後、アメリカにも説明しながら法整備を進めていく考えを示しました。

国会は、14日の衆議院予算委員会に続いて、15日は参議院予算委員会で、集団的自衛権の行使容認を巡る閉会中審査が行われました。
自民党の島尻安伊子参議院議員は、「今回の閣議決定について多くの不安の声が出ているのが現状だが、日本の平和主義の堅持、不戦の誓い、憲法9条の規範は変わらないということを明確にしてほしい」と質問しました。
これに対し、安倍総理大臣は「武力行使の新3要件は憲法上の明確な歯止めであり、国際的に見ても例のない極めて厳しい基準だと言ってもいい。国内法の整備が必要で、改めて国会で審議していただくことになり、実際の行使にあたっても、これまでと同様に国会承認を求める考えだ。民主主義国家であるわが国としては、慎重の上にも慎重を期して判断することは当然で、今回の決定は憲法の規範をそのまま受け継ぐものだ」と述べました。
民主党の福山元官房副長官は、「武力行使の新3要件のうち、『必要最小限度の武力の行使』とはどのような形と考えるのか。新3要件に当てはまるかどうかは、いったい誰がどのような基準で判断するのか」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「必要最小限度とは、相手の武力攻撃と均衡が取れたものでなければならないことを意味し、わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が客観的に存在している以上、具体的には武力攻撃の規模や態様に応じて判断することができると考えている。自衛隊が実際に活動するには国会の承認が必要で、政府や国会において、新3要件に当てはまるかどうか、しっかりと議論されることになる」と述べました。
公明党の西田参議院幹事長は、閣議決定に盛り込まれた多国籍軍などへの後方支援の活動地域について、「いわゆる『後方地域』とか『非戦闘地域』という形式的な線引きはとらないことで、従来以上に厳格な判断が要求されるのではないか」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「支援活動は、現に戦闘行為を行っている現場では実施しないということで、武力行使との一体化の問題は生じないと考えている。その現場は、人を殺傷し、または物を破壊する行為が現に行われているかどうかという明らかな事実関係により客観的に認識でき、その判断は、常時、厳格に行っていく必要がある。現場の部隊で判断する事項と、政府として判断する事項の整理を進め、法整備の作業の中で十分、検討していきたい」と述べました。
一方、横畠内閣法制局長官は、憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認した閣議決定について、「昭和47年の政府見解の基本論理を維持し、これまでの憲法9条を巡る議論と整合する合理的な解釈の範囲内のものだと考えており、憲法改正によらなければできないことを解釈の変更で行うという意味での、いわゆる解釈改憲にはあたらない」と述べました。
日本維新の会の橋下共同代表のグループの片山参議院議員団会長は、「与党だけの協議で閣議決定するという進め方が悪い。憲法の解釈は一義的には国会の問題であり、まず国会で議論し、大きな方針を決めるのが基本だ」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「憲法65条によって、われわれは行政権を持っており、行政を行ううえで憲法を尊重し、擁護する義務のなかで、正しく解釈していくのは私たちの責務でもある。今回、事の重大性に鑑みて閣議決定を行ったが、国権の最高機関としての国会の審議を経なければ自衛隊は活動できず、集団的自衛権の行使もできない。国会の審議に耐えうる法案を作っていきたい」と述べました。
みんなの党の中西政策調査会長は、「国際法上、集団的自衛権とみなされることが自明のものを個別的自衛権の拡張で説明することは、自国の領土や領海を拡張して解釈するという、かなり大きな危険をはらむのではないか」と質問しました。
これに対し、安倍総理大臣は「さまざまな事態に対し、国際法的に集団的自衛権なのか個別的自衛権なのか、個別的自衛権をもう少し拡張すれば事態が解決できるのか、相当、議論してきた。憲法との関係では個別的自衛権で処理したほうがやりやすい訳だが、国際法上、それは違法になる。公海も領海になってしまい、他国の船もわが国の船と認識するのと同じになるということであり、極めて非常識なことになっていく」と述べ、集団的自衛権の行使容認の必要性を強調しました。
また、安倍総理大臣は、南シナ海の領有権を巡る問題について、「今、直ちに、武力行使の新3要件の対象になるとは考えていない」と述べました。
共産党の小池政策委員長は、「集団的自衛権の行使を可能にし、自衛隊は『非戦闘地域』で活動するという歯止めも無くせば、アメリカは最前線での支援を求め、武力行使も求めてくるだろう。派兵の要請を断ることなど到底できなくなる」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「集団的自衛権でも、集団安全保障でも、海外に一般に派兵できないという今までの考え方は変わりがない。武力行使を目的としてイラク戦争や湾岸戦争のような戦闘に参加することはこれからもなく、要請されても、『できない』と答えるのは当たり前のことだ。アメリカには十分な説明をしており、今後の法整備でも政策対話をしていくことは当然だ」と述べました。
社民党の吉田党首は、「集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の変更をしたが、徴兵制も、将来、可能になるという危惧がある」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「集団的自衛権の行使と徴兵制は全く関係ない。集団的自衛権はほとんどの国で行使できるが、アメリカが志願制なのに対し、スイスは集団的自衛権の行使はしないものの国民皆兵だ。徴兵制を導入することは憲法上、ありえない」と述べました。
新党改革の荒井代表は、「安全保障に関わる官僚や企業、防衛省の結びつきによる複合体ができて、潜在的な脅威にならないか懸念している」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないという基本方針に沿って、文民統制を確保し、非核三原則を守る方針を堅持してきた歩みが今後も変わることはなく、どんどん武器を輸出していく考え方は毛頭ない」と述べました。
生活の党の主濱副代表は、「集団的自衛権の行使は日本が戦争の当事国になり、自衛隊はもとより国民も武力紛争に巻き込むことになる」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「集団的自衛権の行使をすべて認めたときはそのようになるが、他国を守るために武力を行使することはなく、海外派兵は一般に許されないという従来の原則も変わらない。外国を守るために日本が戦争に巻き込まれるというのは誤解だ」と述べました。

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