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» 2014年07月16日 08時55分 UPDATE

「ツバメ」なぜ消えた……実は「人間」こそが“天敵”に (1/3)

身近な鳥として親しまれてきたツバメが、全国的な減少傾向にある。民家などの軒下にツバメが巣を作るとひながフンを落とすため、住民らがさっさと撤去してしまう“人害”も一因と指摘されている。

[産経新聞]
産経新聞

 かつて「巣を作ると商売繁盛する」などと身近な鳥として親しまれてきたツバメが、全国的な減少傾向にある。民家などの軒下にツバメが巣を作るとひながフンを落とすため、住民らがさっさと撤去してしまう“人害”も一因と指摘されている。そんななか、兵庫県西宮市の市民団体「浜・川・山の自然たんけん隊」が、阪神間で観察会を開催するなど保護活動を展開している。事務局長の粟野真造さん(54)は「ツバメの巣は“フンよけ”を作れば気にならない。ツバメに親しみを持つ心を思い出してほしい」と呼びかけている。(中川三緒)

阪神尼崎駅では巣3つを確認

画像 阪神尼崎駅にある巣で親鳥の餌を待つひなたち(粟野真造さん提供)

 6月21日、阪神尼崎駅(同県尼崎市)でツバメの観察会が行われた。同駅では今年、ツバメが巣を3つ作り、親子連れや地元住民ら約10人が参加した。ツバメのひなを見たことがない参加者も多く、ひなが親鳥から餌をもらう様子などを観察。1日100回近く餌を食べるひなのために、5〜10分おきに餌を運んでくる親鳥に驚いた様子を見せる子供もいた。

 参加者の一人で尼崎市の松田ツタエさん(82)は佐賀県の農村部の出身で、子供のころはツバメをよく見かけたという。松田さんは「故郷のことを思い出した。昔はもっとたくさんツバメがいたのにね」とつぶやいた。

 観察会を企画した粟野さんは、「ツバメの生態を知るだけでも、より身近に感じることができる。巣を見つけたら大切に見守ってほしい」と話していた。

 ツバメは、東南アジアで冬を越し、2月下旬ごろから国内で見られるようになる渡り鳥。日本では古くから害虫を捕食する益鳥として親しまれてきた。泥や枯れ草を唾液(だえき)で固めた巣を民家や駅の軒下などに作り、メスは4〜7月ごろに産卵期を迎え、一度に3〜7個の卵を産む。

全国的にツバメも巣も減っている

 実は、ツバメが減少傾向にあるとの調査結果は全国各地で報告されている。

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