Updated: Tokyo  2014/07/16 10:23  |  New York  2014/07/15 21:23  |  London  2014/07/16 02:23
 

イエレンFRB議長:「高レベル」の金融緩和が引き続き必要

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  7月15日(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は半期に一度の金融政策に関する議会証言で、労働市場には「著しいスラック(たるみ)」が依然見られ、インフレ率はなお当局の目標を下回っていることから、金融緩和を推し進める必要があるとの認識を示した。

イエレン議長は上院銀行委員会が15日開いた公聴会で、「高レベルの金融政策緩和が引き続き適切だ」と言明。「経済は改善が続いているが、回復はまだ完全ではない」と続けた。

議長はまた、政策金利 について、債券購入が終了した後も「相当な期間」低水準で据え置かれる公算が大きいと指摘。債券購入プログラムについては10月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合を最後に終了する可能性があると説明した。

経済情勢については1-3月(第1四半期)のマイナス成長から持ち直したようだとしながらも、動向を「注意深く見守る必要がある」と指摘。また賃金の緩慢な伸びや低い労働参加率などが労働市場のたるみの兆候だと述べた。住宅市場については「最近はほとんど改善が見られない」とし、住宅ローン金利の上昇が買い手を遠ざけているとの認識を示した。

金融政策報告書では、ソーシャルメディアやバイオテクノロジー関連の中小企業の株価のバリュエーションが「相当高く」なっているようだと指摘。これを手掛かりに、米国株は下げに転じる展開となった。

「まちまちなシグナル」

証言後の質疑応答でイエレン議長は、「経済に関しては強弱まちまちなシグナルが出ている」とし、「利上げする前に、経済の足場が固まっていることを確実にするよう注意を払う必要がある」と述べた。

6月の雇用統計によれば、失業率 は6.1%とほぼ6年ぶりの水準に低下。非農業部門雇用者数は28万8000人増となった。ただ、イエレン議長が注目する労働市場の指標の一部では引き続き弱さが示された。労働参加率は62.8%と、1978年以来の低水準だった。

経済の見通しについて議長は証言で、「経済活動は向こう数年間、緩やかなペースで拡大する。緩和的な金融政策や財政政策面での足かせの弱まり、住宅価格および株価の上昇の遅延効果、諸外国の成長の強まりが米経済を後押しする」と述べた。

また物価情勢に関しては「インフレ率はここ数カ月に上昇したが、FOMCが中長期の目標とする2%をなお下回っている」と指摘した。

その上で、「フェデラルファンド(FF)金利の道筋に関する決定は、入手する情報についての当局の精査および経済見通しへの影響に引き続き左右される」と説明。労働市場の改善が予想より速いペースで続いた場合は、利上げは「現在想定しているよりも早期に、そして速いペースで行われる公算が大きい」と指摘した。

原題:Yellen Says Continued Easing Needed Amid Job-Market Slack(3)(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Jeff Kearns jkearns3@bloomberg.net;ニューヨーク Matthew Boesler mboesler1@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.netJames L Tyson

更新日時: 2014/07/16 01:33 JST

 
 
 
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