太古の哺乳類展 ─ 日本の化石でたどる進化と絶滅 ─ |
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■ゾウ、トラ、サイ、バイソン…全部いました大昔の動物を紹介する展覧会は夏休みの定番ですが、今年のカハクは哺乳類。約1億2000万年前から1万年前まで日本に生息し、今では絶滅した哺乳類を紹介します。
太古の昔は大陸と地続きだった日本。約2500万年前に日本海が開き始め、数百万年前にほぼ現在のかたちになりました。
会場では白亜紀に生息していた哺乳類から、ほぼ時代順に9章に分けて紹介。ちなみに哺乳類の誕生は最古の恐竜とほぼ同じ時代で(約2億2,000万年前)、「恐竜の次に生まれたのが哺乳類」ではないので、注意してください。 会場入口から 会場中ほどのカバのような哺乳類は、デスモスチルス類。耳慣れない名前ですが、多くの化石が日本で見つかっているデスモスチルス類は、日本が誇る化石哺乳類といえます。 デスモスは「束」、スチルスは「円柱」の意。丸い柱を束ねたような臼歯を持つことから命名されました。 第5章「デスモスチルス類の世界」 展覧会の目玉が、ナウマンゾウの「親子」。オスとメスと子どもの化石を、親子に見立ててレイアウトしています(実際は複数の化石を合わせて作ったもので、親子ではありません)。 論文を発表した東京帝国大学教授のドイツ人、E.ナウマンから名を取ったナウマンゾウの化石は、北海道から九州まで百数十カ所で見つかっています。 会場ではアフリカゾウやケナガマンモスとの比較も。大きさは3者ともほぼ同じですが、ナウマンゾウの頭骨は庇のような出っ張りが特徴的。牙は長いマンモス、やや短めのアフリカゾウに対し、ナウマンゾウは中間ぐらいです。 第7章「ナウマンゾウの世界」 ナウマンゾウは約2万年前に絶滅しましたが、この時期(更新世末期)は世界的な規模で大型動物の絶滅が相次ぎました。気候変動説と、人為的な説(狩りつくしたため)がありますが、はっきりした事は分かっていません。 会場では、ともに浜松で発見されたトラやタイリクオオカミなどの化石も展示。はるか昔には、浜松でトラやオオカミが野生(というのも変ですが)していたという事実は、かなり新鮮に感じられます。 第8章「大型哺乳類の絶滅」 外来種や家畜を除くと、現在の日本でイノシシやシカなどの大型哺乳類はわずか15種類しか生息していません。種の誕生や絶滅はとてつもなく長い時間軸での出来事とはいえ、昨今の地球環境の変化を思うと、少し心細くなってきます。(取材:2014年7月11日)
(写真・文 インターネットミュージアム事務局)
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