2014年07月15日

FRICが注目されている理由 2

Why FRICS is in the spotlight

ルイス・ハミルトン、2014年F1イギリスGP

FRICS(FRICサスペンション)は、一連のアクチュエータやリザーバータンクを利用して、フロントとリアのサスペンションを油圧で接続する。純粋な機械的システムで、スプリング動作によって活性化されるため、1994年以降、定められた電子的アクティブ・サスペンション禁止に違反しない。メルセデス、ウィリアムズ、ロータスなどのチームは、左右の連結をさらに改良している。いくつかの副次的効果があるが、重要なものは空力学的効果である(そのためチャーリーは違法であると考えている)。

このシステムは、ヘビー・ブレーキング中も一定の車高を維持し、静止時のフロント車高を低く設定でき、特にダウンフォース(速度のニ乗に比例するため、速度が低下すると平方根で減少する)が低いためマシンが最も高い車高で走行する低速コーナーで、ダウンフォース上のアドバンテージを受ける。

FRICSを搭載しないマシンでは、低速コーナーでブレーキングを緩めると、マシンのフロントが高くなり、ダウンフォースが失われる。FRICS搭載マシンでは、マシンの前のめりの動作のエネルギーを油圧によってフロント・ダンパーに接続するので、必要なだけ長く車高を低く維持できる。

皮肉な見方をすれば、この技術は、応力解析のカーボン・レイアップと、空力学的シミュレーションを組み合わせ、マシンがダウンフォースによって下向きの力を受けると、上向きにたわむノーズを開発し、FRICSがなくても低いフロント車高を達成できる方法を見出したチームのアドバンテージを削ぐことができる。

これは、少なくとも2010年以降のレッドブルの空力学的アドバンテージの核心だった。レッドブルは、有限要素解析(FEA)とCFDを組合せて、これを達成できるが、FIAのたわみテストに合格するようなカーボン・レイアップをつくるソフトウェアを考案した会社と独占使用権契約を結んでいる。

FRICSを禁止すれば、ノーズたわみ技術のアドバンテージは間違いなく高まるだろう。フェラーリは、おそらくチーム間のスタッフ移動に助けられ、そのメカニズムを解明し、来年のマシンに組み込むことを検討しているのだろうか? 今週末、全チームがFRICSを搭載しない場合、その手掛かりはホッケンハイムでのレッドブルのパフォーマンスにあるかもしれない。

part 1

-Source: Motorsport Magazine

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