岩手県が防潮堤、土地収用認める 釜石・片岸地区整備用地
東日本大震災で被災した岩手県釜石市の片岸地区の防潮堤整備事業で、岩手県が土地収用法に基づき申請した土地収用について、県収用委員会は6日までに収用を認める裁決を出した。国が行う復興関連事業で土地収用を認める事例はあったが、岩手、宮城、福島の被災3県による事業で認められたのは初めて。
取得が必要な用地は残っているが、県は収用委員会の裁決手続き中でも工事に入ることができる「緊急使用」も視野に、9月の着工を目指す。
収用が認められたのは、防潮堤整備に必要な用地約5.2ヘクタールのうち、取得困難となっていた約0.37ヘクタール。明治時代の登記簿に41人の所有と記載されているのみで現所有者が分かっていない。県は昨年12月に収用の裁決を申請した。
通常の交渉で取得できた約4.7ヘクタールと合わせ約5.1ヘクタールを確保した。残りの0.1ヘクタールについても県は収用の裁決を申請している。
被災地の土地収用をめぐっては、5月に迅速化するための改正復興特区法が施行された。県は着工まで残る用地の裁決が出ない場合、改正法で活用しやすくなった緊急使用も検討する。
片岸地区の防潮堤計画は高さ14.5メートル、長さ930メートル。国による用地取得の迅速化のモデルケースに指定されている。
2014年06月07日土曜日