ISS:参加延長の報告書 文科省小委員会

毎日新聞 2014年07月15日 20時10分

 文部科学省科学技術・学術審議会の小委員会=主査=藤崎一郎・上智大特別招聘(しょうへい)教授=は15日、国際宇宙ステーション(ISS)への参加は「安全保障の観点から非常に有意義だ」などとして、2024年までの参加延長が適当だとする報告書をまとめた。文科省は近く、国全体の宇宙政策を立案する内閣府宇宙政策委員会に報告する。

 ISSは、日米露など参加15カ国が20年までの運用に合意済みで、米国が今年1月、24年までの延長を提案した。小委員会の報告書は、産業振興などに加え、ISSを通じて各国間で密接な協力関係を築いていることを「非常に大きな成果」と評価。国際関係を維持するための「危機管理」としての役割を強調した。

 今年4月、米航空宇宙局がウクライナ情勢を理由にロシア政府当局との接触を停止した際も、ISSだけは例外扱いとされた。

 しかし、毎年360億〜400億円に上る負担への批判は根強く、政府の宇宙基本計画では、16年以降は「費用対効果を十分評価した上で参加形態を検討すべきだ」と明記している。小委員会は、国際的地位の向上など金額に換算できない成果を重視しつつ、「負担が大幅に増えないよう国際間で調整を図るべきだ」とクギを刺した。

 会合後の記者会見で、藤崎主査は「(中国、インドのような)独自の宇宙開発は費用負担が大きく、ISSからの撤退はこれまでの努力を無にする。費用負担の軽減を図りながら継続することが合理的な選択だ」と話した。

 一方、下村博文文科相は同日の記者会見で、24年までの延長について「基本的には参加する方向で前向きに検討したい」と述べた。【大場あい】

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