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 介護される人も、介護する人も高齢者。老老介護は、もはや例外ではなく、ごく普通の光景になりつつある。ただ家族を支える環境は整っているとは言い難い。

 熊本市の堀本平さんは75歳。認知症で要介護5の妻、美都里さん(76)と2人暮らしだ。日中はデイサービスを利用しているが、それ以外の時間帯の食事や排泄(はいせつ)の介助は、平さんがすべて担う。そんな生活が12年間続く。

 今年3月、平さんは妻を寝かせた後に貧血で倒れ、3週間ほど入院した。その間、美都里さんは介護老人保健施設に一時入所した。平さんは「このままで自分の体力がもつかどうか」と不安を募らせる。特別養護老人ホームにも申し込んでいるが、まだ空きがない。「1日でも長く一緒に暮らしたいが、在宅介護にも限界がある」

 団塊の世代が75歳以上になる2025年には、65歳以上の高齢者人口は3657万人となり、高齢化率は30%を超す見通し。高齢者だけの夫婦や一人暮らしも急増する。家族の「介護力」は年々、弱まる。