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ドイツの選手たちが徹底したハイレベルな「当たり前」のプレーの連続が、強烈な「個」を擁するアルゼンチンを凌駕した。その姿は、日本にとってもお手本になるのではないだろうか。
photograph by Getty Images
ブラジルW杯通信

怪物ではなく「当たり前」の徹底!
ドイツの優勝を、日本のモデルに。

戸塚啓 = 文

text by Kei Totsuka

photograph by Getty Images

 W杯が開幕した6月12日、僕はブラジルの優勝を願っていた。

 日本を除けばブラジルがどこよりも好きな代表チームで、開催国が躍進するワールドカップはとんでもなく盛り上がるからだ。'98年大会でフランスが優勝した夜のシャンゼリゼ大通りは、今でも忘れがたい記憶である。

 そして7月13日の僕は、ドイツが優勝して良かったと思っている。ブラジルでも、アルゼンチンでも、オランダでもなく、ドイツの優勝で幕を閉じてほしいW杯だったからだ。

 リオネル・メッシが圧倒的なまでの活躍を見せて、アルゼンチンが優勝したとする。日本を含めた世界のサッカー界は、現代サッカーのスーパースターがW杯の歴史に名を刻んだと伝えるだろう。2014年のブラジルW杯は、メッシの大会だったと。

 ブラジルが優勝すれば、ネイマールがW杯のレジェンドに肩を並べたはずだ。オランダならロッベンが、今大会の象徴的存在に躍り出ただろうか。

 それでは、困るのだ。

日本のモデルとなるチームに優勝してほしかった。

 メッシもネイマールもロッベンも、僕からすれば別次元の領域のフットボーラーである。メッシは日本人と変わらない体格だが、だからと言って彼のような日本人がすぐに出現するとは思えない。ネイマールにしても、ロッベンにしても。

 日本代表のW杯出場が当たり前となった一方で、グループリーグであえなく敗退する現実も目の当たりにさせられた。ブラジルで取材を続けるうちに、日本のモデルとなるようなチームに優勝してほしい、と僕は考えるようになっていった。

 もちろん、ドイツにも素晴らしい選手は数多い。ただ、ヨアヒム・レーブ監督が統べるチームには、バーチャルな世界から飛び出したような選手はいない。フィジカルと、テクニックと、メンタリティと、個人戦術を、きわめて高いレベルで装備するのがドイツの「個」だ。

【次ページ】 「当たり前」のレベルがきわめて高いドイツ。

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