スマホの川流れ

毎月第1~4火曜日ごろ更新

どんな投稿でも必ず"いいね!" してくるヤツは一体どういうつもりなのか?

スマートフォンを使って、さまざまな実験を行うこの企画。第105回は、Facebookで必ず“いいね!”してくるヤツは一体どういうつもりなのかを調査します。




世界最大のソーシャルネットワーキングサービス、「Facebook」。

全世界にユーザーが存在し、その数は8億人以上とも言われています。

最大の特徴は、ほかのユーザーの投稿に"いいね!"できるということ。

これにより、「今日は上司に褒められた!」→"いいね!"、「好きな子に告白したらOKをもらえた!」→"いいね!"と、友達や知り合いとインターネット上で交流を深めることができます。

素晴らしい機能ですよね。

本当に素晴らしい機能だと思います……。

でもね……、


僕の友達リストの中に、めちゃくちゃ"いいね!"を押してくるヤツがいるんです。

どれくらい押してくるのかというと、僕の投稿、ほぼすべてに"いいね!"を押してくるんです。




「懸賞に応募しました」というくだらない通知にも。


ちゃんと投稿できているか試した「テスト」とだけ書かれた投稿にも。

ここまで来ると「お前、本当に"いいね!"と思っているのか?」という疑問が出てきます。

というわけで今回は、どんな投稿でも必ず"いいね!"してくるヤツは一体どういうつもりなのか? 何を考えているのか? ということを直接、本人に聞いてみたいと思います!


そんなわけで、さっそくFacebookのメッセージ機能を使って、「ちょっと相談したいことがあるんですが、お時間いただけませんか?」と送ってみたところ、すぐに「いいですよ!」と返信がありました。

後日、喫茶店で待ち合わせをして、実際に会うことに。

以下は、その時のインタビューです。


セブ山:どうも! お久しぶりです!

いいね!:ご無沙汰してます! どうもです!

セブ山:急にお呼び出ししてすみませんでした。

いいね!:いえいえ、全然大丈夫ですよ! で今日は、どうしたんですか?

セブ山:おっ、いきなり本題に入っちゃいます? 逆に、今日は何の話だと思って来てくれました?

いいね!:相談っていうから、何かなと思って、当日までずっと考えていました。僕、最近、貧困を支援するNPO法人にボランティアとして関わっているんですけど、その相談なのかなぁと。「生活に困っているのかな、セブ山さん……」と思って来ました。

セブ山:ああ、なるほどね。

いいね!:だからいろいろ調べてきましたよ。まさかと思って。いろいろ質問された時に答えられなきゃまずいですし。

セブ山:NPO法人の? 貧困を支援するための?

いいね!:はい、生活保護の手続きとか。

セブ山:なるほど。ありがとうございます。まぁ、でも、全然違います。その件じゃないですね。あと、別にお金には困っていませんよ……。

いいね!:すみません! そういう意味じゃなくて、もし、万が一のことがあって、答えられなかったら困るなと思って! いろいろ紹介するところも探しておいたんですよ!

セブ山:大丈夫ですよ! わかってます! 僕のために調べてきてくれたんですよね! わかってます! でも、今回はそれじゃないんです。

いいね!:それじゃないんですか?

セブ山:それじゃないです。今日いろいろ聞いてみたいなと思ったのは、あれなんですよ。めっちゃ僕の>Facebookに"いいね!"するじゃないですか、あなた。

いいね!:あ、それかぁ!

セブ山:それです。その件についてお話を聞きたくて。

いいね!:僕ね、"いいね!"ジェリストって友達に呼ばれているんですよ。

セブ山:え、何ですか?

いいね!:"いいね!"ジェリスト

セブ山:"いいね!"ジェリストって?

いいね!:"いいね!"ジェリストって「"いいね!"をつかさどる者」っていう意味の友達が作ってくれた造語なんです。

セブ山:そういうふうに、友達に呼ばれているんですか?

いいね!:そう。僕の"いいね!"は、"いいね!"ジェリストの"いいね!"って呼ばれているんです。

セブ山:それって周りはどういう意味で言ってくるんですか?どう考えても馬鹿にされているようにしか思えないんですが……。

いいね!:馬鹿にして言ってくるヤツもいますね。だけど、なかには本当に感謝して言ってくれている人もいます。

セブ山:「たくさん"いいね!"してくれてありがとう」みたいな?

いいね!:そうです。例えばブログを更新したことをFacebookにアップするじゃないですか。ブログって「読まれたい」って思っている人がたくさんいるじゃないですか。そうすると、"いいね!"を押すと拡散されるんです。

セブ山:拡散されるっていうのは、つまり、"いいね!"を押すことによって何度もタイムラインに上がってくるってことですか。

いいね!:そうです、そうです。だからむしろ「"いいね!"をたくさん押してくれ!」って言う人が大勢います。

セブ山:ああ、なるほど。それで「"いいね!"を押してくれてありがとう」ってことですね。

いいね!:そう、だから彼らにとっていいねを押してくれる人はスゲー貴重な存在で、親近感を持って僕のことを「"いいね!"ジェリスト」と呼んでくれます。

セブ山:なるほどなぁー。でも、僕にはやっぱり「"いいね!"ジェリスト」って、馬鹿にされているようにしか聞こえません……。

いいね!:たしかに、セブ山さんがおっしゃったように、内心、馬鹿にしている人もいるかもしれません。たまに、馬鹿にしたのを通り越して、僕の"いいね!"にムカっとする人もいるみたいです。そういう人たちには直接メッセージで「やめてください」って言われます。

セブ山:え、はっきり「やめてください」って言われちゃうんですか?

いいね!:「"いいね!"を押さないでください」って言われます。

セブ山:う~ん、ちょっとそれもわからないなぁ……。なんで、わざわざ「"いいね!"を押さないでください」って言ってくるんですか? ほっとけばいいのに。

いいね!:それは多分、「(投稿した内容を)ちゃんと読んでないのに押すな」ってことですね。怒ってくる人はだいたい、例外なく投稿の内容がスゲー長文なんですよ。伝えたい想いが強い分、読んでくれなかったら嫌だ、というカウンターが強いんだと思います。

セブ山:なるほど、おもしろいですね。「自分の投稿を読んでもらいたい」という気持ちは、"いいね!"に喜ぶ人も怒る人も一緒なんだ。

いいね!:"いいね!"って不思議ですよねぇ。

セブ山:実際、どうなんですか? 投稿された内容はちゃんと読んでいるんですか?

いいね!:ほとんどの文章は半分くらいしか読んでないです。

セブ山:いや、やっぱりそうですよね! 僕が"いいね!"を押された記事も、おそらくちゃんと読んでくれてないですよね?

いいね!:ちゃんと読んでいたら、あんなに"いいね!"を押せないですよ。

セブ山:そうですよね……。そう思っていましたよ。僕の記事だけでも相当な数を"いいね!"してくれているので「これ本当に全部読んで、"いいね!"と思ってくれているのかなぁ」って。

いいね!:それは"いいね!"と思ってないです。記事に対して"いいね!"ってわけじゃないんです。

セブ山:えっ!? "いいね!"って思ってないの!?

いいね!:"いいね!"の幅が人と違うんです。

セブ山:ん? どういうことですか?


いいね!:っていうのは、友達の投稿が、だいたいポジティブだったとしたら「そのことがすでに"いいね!"じゃないか」って思うんです。だから、"いいね!"の価値観が人と違うんですよ。

セブ山:つまり、「あなたが元気にFacebookに投稿できていることがすでに"いいね!"じゃないか! "いいね!"」っていう意味で押していると? 決して、記事を読んで"いいね!"と思ったわけではなく?

いいね:そうそう! もちろんブログや記事は、途中までしか読んでいないんだけれど、 ブログの内容なんかより、あなたが生きている今日はどんなに素晴らしいだろうってことです! 決して、偽りの気持ちで"いいね!"しているわけではありません!

セブ山:なんかそれだけ聞くとブルーハーツの歌詞みたいですね……。じゃあ、あなたにとって、いや、"いいね!"ジェリストにとって"いいね!"って何なんですか?

いいね!:僕の感覚では"いいね!"っていうのは「こんにちは」とか「おはようございます」っていうことなんです。友達に会ったときにも「おはよう」っていうノリ"いいね!"って押すような感じです。

セブ山:"いいね!"はあいさつと一緒だと。じゃあ「"いいね!"を押せないヤツはあいさつできないヤツと一緒」ってことですか? 「ゴムをつけない男はあいさつできないのと一緒」という加藤鷹さんと同じ理論ですか?

いいね!:そこまでは言わないですが、できない人はできないでいいと思っています。自分ができるからと言って人に強要したりはしないし、もちろんやろうとも言わないです。ただ、"いいね!"を押したらもっと楽しいのに、とは思います。あっ、そういう意味では、ハイタッチするような感覚ですかね。

セブ山:なるほど。でも、そうなると気になってくるのは、"いいね!"ジェリストは逆にどんな時に"いいねを押さないのか? っていうことなんですが、"いいね!"を押さない時もあるんですか?

いいね!:もちろん、ありますよ。例えば、事故に遭いましたとか、身内に不幸がありました、といった投稿には"いいね!"してないんですよ。じゃあ、どうしているかというと、コメントをしているんです。「お大事にしてください」とか。

セブ山:なるほど、それはいい意味じゃないから"いいね!"は押さないってことですね。

いいね!:そこはね、"いいね!"ジェリストのこだわりなので。"いいね!"じゃないやつには"いいね!"しないんですよ。全部コメントなんですよ。

セブ山:あれ? でも、ちょっと待ってください。それって、Facebookのタイムラインすべてに反応していることになりますよね? 

いいね!:はい、可能な限りタイムラインの投稿には反応するようにしています。今、僕の友達リストには約300人いるので、けっこう大変ですが、がんばっています。

セブ山:"いいね!"ジェリストって過酷な職業なんですね……。

いいね!:職業ではないですけどね。

セブ山:じゃあ、Facebookはもう生活の一部みたいになっているんじゃないですか?


いいね!:Facebook大好き! 最近はTwitterも大好きなんです。リツイートしまくってます。

セブ山:他のSNSもそういう使い方をしているんですね。

いいね!:そうですね。ブログを書いている方をリツイートすると喜ばれますね。だから、リツイートばっかりしていますね。自分の投稿はあまりないかも。

セブ山:Twitterではリツイートが"いいね!"みたいなことになるんですね。Facebook以外で使っているのは、Twitterくらいですか?

いいね!:あとは、LINEですかね。LINEも1対1よりもグループにしてやるほうが楽しいと思ってます。

セブ山:でも、LINEは"いいね!"みたいな機能はないですよね? どうしているんですか?

いいね!:LINEは「既読」がつく! 「見てるよ」っていう! それが"いいね!"の代わりです。

セブ山:な、なるほど……。

いいね!:だから、僕、既読するのはめっちゃ早いんですよ! 来た、見る、来た、見る、みたいな! 既読スルーはしない!

セブ山:そうですか……。

いいね!:……あれ? セブ山さん、引いてますか?

セブ山:い、いや、引いてはいないですよ! ただ、自分の使い方とは全然違うなと思いまして……。でも、どうして、そこまで過剰に、"いいね!"を押したり、リツイートしたりするんですか? 何かメリットがあるんですか?

いいね!:やっぱり、覚えてもらえることですかね。1回しか会ったことがない人でも、久しぶりに顔を合わせば「いつも"いいね!"してくれる方ですよね?」と言ってくれたりします。会ったことがない友人の友人にも「あっ、"いいね!"さんだ!」みたいな感じで話しかけられたりもします。

セブ山:「"いいね!"さん」って呼び方は絶対に馬鹿にされてると思いますけどね。

いいね!:それでもいいんですよ。覚えてくれていることがうれしいから。だから、"いいね!"をたくさん押していると、ちょっとだけですけど、仲良くなるのが早くなるんです。「いつも"いいね!"を押してくれる人」って覚えてもらえるから。

セブ山:なるほど。じゃあ、みんなももっと"いいね!"したほうがいいですかね?

いいね!:"いいねしていいんじゃないですかね。"いいね!"はもっと軽くていいんじゃないかと思います。「本当に"いいね!"と思った時にしか押さない」って言う人ももちろんいていいんだけど、もっとこう"いいね!"を軽く押す人が現れてもいいんじゃないでしょうか。その方がもっとおもしろくなるんじゃないかなって思います。

セブ山:そうかもしれませんね。それでは、最後にひとつだけ質問させてください。

いいね!:はい、何でしょうか。

セブ山:今後も"いいね!"を押し続けますか?

いいね!:押し続けます。この世界を"いいね!"と思えるかぎり。

インタビューは以上です。


いかがだったでしょうか?

"いいね!"を過剰に押してくる人の話を聞いて、あなたはどう思いましたか?

おそらく、「なるほど、そういう使い方もあるのか! マネしてみよう!」と思った人も、「そこまでFacebookにどっぷりつかっているなんて、なんだか怖いな……」と思った人もいたことでしょう。

このように、今回のインタビューで一番の収穫は「Facebookの使い方に正解はない」ということだと思います。

インタビュー前に「どんな投稿でも必ず"いいね!"を過剰に押してくる人の話を聞いて、あなたはどう思いましたか?

"いいね!"してくるヤツは一体どういうつもりなんだ? 俺のことをナメているのか?」と思っていた私が言うのもアレですが、あなたなりの使い方を見つけて、ぜひ"いいね!"を有効的に使いこなしましょう。

本記事が、そのお役に立てれば幸いです。



撮影日:2014年6月8日

(セブ山@sebuyama/ノオト)

2014年7月15日

セブ山(Twitter:@sebuyama)+有限会社ノオト(外部サイト)
フリーのライター。平日毎日更新の Webマガジン「オモコロ」(外部サイト)で活動中。リヤカーでビジネス書を売る「リヤカーブックス」(外部サイト)の店長も務める。

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