東京・大手町の地下から温泉採掘7月15日 18時46分
大手不動産会社の「三菱地所」は、日本のビジネス街の中心である東京・千代田区大手町の地下から温泉を採掘したと発表しました。
今後、オフィス街で働く人や6年後の東京オリンピックに訪れる外国人観光客などを呼び込みたいとしています。
温泉が確認されたのは、オフィスビルが建ち並ぶ東京・千代田区大手町の広さ1万1200平方メートルの敷地で進められている再開発現場で、三菱地所によりますと、先月・6月、地下1500メートルまで採掘してくみ上げた湯を専門の機関が分析した結果、ナトリウムやヨウ素を含む温泉と確認されたということです。
温泉の温度は36度5分、湯の量は毎分240リットルで、関節の痛みや神経痛などへの効能が期待されるということです。
温泉が出た敷地では、2年後の春の完成を目指してことし4月から31階建てのオフィス棟と18階建ての宿泊棟の建設が進められています。
三菱地所は「大手町温泉」と名付けて、オフィス棟の中のフィットネス施設や宿泊棟に入る日本旅館の利用者、さらに6年後の東京オリンピックに訪れる外国人観光客などを呼び込みたいとしています。
また、地震など大規模な災害が起きた場合、救助活動に携わるひとやボランティアなどに温泉施設を開放する方針です。
三菱地所丸の内開発部の構倫明副長は「周囲から温泉が本当に出るのかと言われていたので、出てよかったです。東京オリンピックの開催で多くの外国人が訪れると予想され、もう一泊しようという需要も引き出せるのではないか」と話しています。
23区に114の温泉施設
東京都によりますと、去年3月の時点で都内には257の温泉施設があります。
このうち23区には114の温泉施設があります。
ただ、23区の源泉は81か所に限られているため、それぞれの施設が源泉を共同で利用しているケースが少なくないということです。
中には、1か所の源泉を5つの温泉施設が共同で利用している所もあるということです。
目黒区鷹番にある温泉施設では、深さ90メートルから温泉をくみ上げていますが、最近では、温泉を確保しようと1000メートル以上の深さまで掘った温泉を利用する施設が増えてきているということです。
専門家「東京は“温泉地”」
東京・大手町の温泉を分析した調査機関の担当者は「東京は地下1000メートルから2000メートル掘ればどこでも温泉が出る、いわば『温泉地』だ」と話しています。
全国の温泉の成分分析にあたっている民間の調査機関「中央温泉研究所」の滝沢英夫研究員は、今回、大手町で出た温泉の成分を分析しました。
滝沢研究員によりますと、東京23区の地下数百メートルから2000メートルほどの間には、かつて海だったところに土砂が堆積した「上総層群」と呼ばれる地層があり、この地層の内部には太古の時代の海水が多く含まれているということです。
大手町の温泉もこうした海水に由来した温泉で、塩分が強く、体がよく温まる泉質だということです。
東京都内での温泉開発は、1980年代以降、掘削にかかるコストが比較的下がったことなどを背景に増えているということです。
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