歌に合わせて映像が流れる5分間の番組、「みんなのうた」。放送開始から半世紀を超える、日本のみならず、世界でも類を見ない長寿番組である。
番組は、高度成長が始まろうとする1961年、楽しみに飢えた子どもたちに、みんなで歌える歌を届けようと始まった。その「音楽と映像をセットにする」というコンセプトは、当時、テレビの可能性を広げる画期的なアイデアで、現代の音楽シーンでいう「ビデオクリップ」の先駆けとなったとも言われる。
送り出された曲は現在まで1300を超え、「山口さんちのツトムくん」「南の島のハメハメハ」「おしりかじり虫」など、それぞれの時代を代表する大ヒットも多く生み出した。この間、日本の社会は目まぐるしい変化を遂げたが、「みんなのうた」は常に子供たちに寄り添い、励まし続けてきた。子供の目線を第一に考えてきた番組である。
しかし、そこに繰り広げられる“セカイ”は、子供向け番組の枠をはるかに超え、大人をも魅了する。斬新でバラエティに富み、ときにシュールな実験精神に溢れている。
今回の「NHKアーカイブス」は、そんな「みんなのうた」の半世紀を超える歴史を振り返りながら、才能溢れるクリエーターたちの「大人の遊び場」として、優れた作品を生み出し続ける、その魅力を探る。
時代時代で大ヒット曲を生み出してきた「みんなのうた」。まさに社会現象となった楽曲の数々をたっぷりと紹介。
「山口さんちのツトムくん」(川橋啓史)「切手のないおくりもの」(財津和夫)「南の島のハメハメハ」(水森亜土)「北風小僧の寒太郎」(北島三郎)「WAになって踊ろう」(AGARTHA)「おしりかじり虫」(おしりかじり虫)・・・ほか
半世紀の歴史の中で、意外なアーティストが参加した「みんなのうた」。貴重な映像は「みんなのうた」ファン必見!
「パパと歩こう」(石原裕次郎)「ミスターシンセサイザー」(タモリ)「ベストフレンド」(SMAP)「むかしトイレがこわかった!」(楳図かずお)・・・ほか
時代の変化につれ、「みんなのうた」も変貌を遂げてきた。ここでは社会問題に焦点を当てた数々の楽曲を紹介。
「ノックは3回」(木根尚登)2007年 いじめ問題にスポットライトを当てた
「パパとあなたの影ぼうし」2001年 仕事で失敗した父親を勇気づける歌として反響を呼んだ・・・ほか
日本を代表するクリエーターたちが参加し、世界的な賞も受賞した「みんなのうた」の斬新な映像の数々を紹介。
「月のワルツ」(映像:いしづかあつこ)「Popo Louise」(映像:坂井治)・・・ほか