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喪われた魔王の伝説 作者:藍宇江雄

第1章 俺が魔王の生まれ変わりだって!?

13.元魔王、大人の階段をのぼる。

作者ながらに、主人公の優柔不断さと煮え切らなさにイライラしました(笑)。
後半に時間がかかると思っていたのに、予想がいに筆が進んでので早めに投稿でいてホッとしています。
このくらいなら、ノクターンじゃなくても大丈夫です……よね?(汗)
「そんな事があったんだ……まぁそれなら、ティティの態度も理解できるかな」

 ネティアが明の部屋を訪ねた次の瞬間には、ティティがテーブルの上に突っ伏して酔い潰れて寝てしまった。
 今日の昼に、密林でティティと姉妹ケンカをしてしまったネティアは、なかなか帰ってこない姉を探して、街中駆け回っていたらしい。
 どうにか知り合いの冒険者から、ティティが思い詰めた顔で“モリガンの宿”に入っていった、という情報を掴んだのがつい10分前。そして明と一緒に部屋に入ったと聞いて、慌てて明の部屋に飛び込んできたというわけだ。

 ネティアが明とティティの間にあった事を聞き、姉妹が過去に手痛い仕打ちを受けたことを打ち明けたところだった。
 ティティは明のベッドで寝息をたてている。正面に座っているのはネティアだ。

「でもなぁ……ネティアもティティも姉妹揃って酷くない? 俺ってそんなに欲求不満に見えるか?」

 どうにもそこに拘ってしまう明だった。愚痴っぽく洩らすと、ネティアはくすくすと笑う。

「じゃあ、お金も要らない、欲しい物もない、そんな人に何かをお願いするのに、何を差し出せばいいんでしょう?」

「いや、差し出すとか差し出さないとか、そういうことじゃないでしょ? 別に友達にアドバイスするくらい、もっと気楽に考えればいいのに……」

「と、友達!?」

 なぜそこに驚くのか。小学校以来クラスメイトに女子はいても、事務連絡以外で話した経験のない明としては、ここ数日のネティアとの関係は友達と言えるものだと思っていた。
 もしかして勘違い? 初めて“女友達”が出来て浮かれていたのは勘違いだったの!? キモイとか言われたら立ち直れない!
 ネティアの反応に、過剰に反応してしまうチェリーボーイ・明。つい早口で捲し立てるように畳みかけてしまう。

「だってそうでしょ? 俺、この街に同い年くらいの知り合いってネティア達しかいないんだよ? 冒険者やって金稼ぐ以外、他にやることもない! ノクトさんとかアーリャさんとか、そりゃ会えば話するくらいの人はいるけどさ、何か立場も歳も全然違うじゃん? その点ネティアとは普通にしゃべれるっていうかさ!」

 明の言葉にネティアは微笑を浮かべ、ベッドで眠る双子の姉に優しい眼差しをおくった。その様子に、友達関係を否定されているわけではないようだと明も安心する。

「わたし達も……確かに同世代の友達はいない、というかいなくなっちゃいましたね。同じ時期に登録した同い年くらいの人達も、5級や6級で諦めちゃった人がほとんどだし。まだ残ってる人達はわたし達がランクを上げていくうちに、だんだん疎遠になっちゃいました」

 ネティアは寂しそうに笑ってから、明の方へと向き直る。

「アキラさんがわたし達を友達と言ってくれるのは、素直に嬉しいです。きっとティティも喜ぶと思います。そんな対等な関係は、実力の釣り合った冒険者の間にしか生まれないものですから」

 そう言って、「でも」と居住まいを正したネティアは、真剣な表情に変わって言葉を続ける。

「わたしも今回のことで、随分と悩みました。本当なら、アキラさんに教えて貰っているようなことは、しっかりと対価を要求された上で教えて貰うことなんです。ノクトさんのような気さくな人でも、魔術に関しては一般に知られている以上のことは人に教えることはありません。自分で苦心して苦労して身に着けた財産なんです。それを、ただ友達、というだけで受け取ることなんて出来ませんよ」

 何やら真面目モードになってしまった会話に戸惑い気味の明だったが、ネティアが言う「自分で苦心して苦労して身に着けた財産」という言葉に引っかかりを覚えた。
 明の魔力も魔術も、ほとんど何もかもがシスという前世から受け継いだものだ。明自身は何の苦労もしていない。もらい物だ。でも、だから安売りしているのか、と言われると違うと思う。
 助けてあげたい、というと傲慢な感じになってしまうが、それが一番近い。
 たとえるなら、金欠のクラスメイトに学食で素ラーメンをおごってあげるような。ある意味、言葉は悪いが馴れ合いとも表現できそうな。
 だいたい、月謝いくらで魔術教室やりますなどと宣伝していたならともかく、金やら何やら代償を要求するのはカッコ悪すぎるだろう。もうここまで来たら意地だ。いらないったらいらない。

「もうさ、じゃあネティアはどうしたいの? もう止める? ティティに頼まれたのも了解しちゃったけど、やっぱりダメって言う?」

 こんがらがってしまった明は、頭をガシガシと掻き回しながら半ば投げやりにネティアに訊いた。
 ところがその言葉に、何故かネティアが「ニヤリ」とでも形容するのが相応しい、含みのある笑みを浮かべた。

「な、なに?」

 突然表情を一変させたネティアに、明は少し怯えてしまう。なんだろう、この女子の言動にいちいち腰が引けてしまうのは、やはり経験値の少なさが原因だろうか。

「言ったでしょ、随分考えたって」

「だ、だから何か対価が云々って話だったんでしょ?」

 ネティアが、いきなり明の手を取って、両手で握り締めてきた。

「アキラさん、わたしの恋人になってくれませんか!?」

「えええっ!? いきなりなにを……」

 唐突な告白に驚き混乱しかけた明だが、自分の手を握り込んでいるネティアの手が、緊張に震えているのに気付いた。よく見れば悪女っぽく見える笑顔も、口の端が強ばっているのが分かる。
 わざと軽い雰囲気にして緊張を誤魔化しているのだとわかるのだが、頭がショートしたようになってしまい、明が何も言えずにいると、ネティアは何かを勘違いして慌てたように言い募った。

「ア、アキラさんの活躍とか、実際の魔術師としての実力とか、ついて行けば将来安泰だなぁ、と思うわけですよ!」

 握っていた明の手を放し、パタパタと落ち着きなく身振り手振りを交えて説明する。
 偽悪的に芝居をしているのがバレバレだった。声は妙に上擦っているし、不自然なほど身振りが大きい。
 明が何も言えずにじっと見詰めていると、ネティアも白々しい芝居がばれていると悟ったのか、悄然とした感じで俯いた。

「……ずるいですよ、アキラさん。こんな時だけ鋭くなるんだもん」

「こんな時って……?」

 見当もつかずに明がぼんやりと問い返すと、ネティアが涙目になりながら厳しい視線になって、明を見返してきた。

「アキラさんは自分の価値が分かってません! まだパルワイムで仲の良い人は少ないかもしれませんけど、実力が知れ渡ったらすぐに色んな女性冒険者が色仕掛けで来ると思います! それだけの物を持ってるんですよ!?」

 何故か厳しい口調で、ネティアが明を諭すように叱りつけてくる。

「そ、そんな?」

「わたしだってね、これまででアキラさんみたいに気安い、っていうか……仲良くしてくれる凄い人なんていなかったし! 男の人でこんなに安心できる人いなかったっていうか……」

 ネティアが何を言っているのか、明としてはイマイチ理解できていなかった。

「打算もあるけど、わたしを明さんの恋人にしてください!」

「……あの、よく意味が……打算もあるって言っちゃうの? え?」

 ネティアみたいな美少女が彼女になってくれるのは、願ったりかなったりの夢みたいな事態だ。しかしこれまで一度も告白どころか、女子と近しい関係にもなったことのない明としては、打算ありなどと明言されると、微妙に警戒心が先に立ってしまう。
 そんな明の煮え切らない言葉に、ネティアが潤んだ瞳で睨み付ける。

「バカァ! どこまで言わせるの!? わたしだって、その、しょ、処女だし? 一年前まで男の人なんて司祭様くらいしか話したことなかったし、恋人とか本当はよく分からないけど……」

 ネティアの言葉が、尻すぼみに小さくなっていく。
 明は、この世界で安全と将来を保証してくれる力のある者、しかもさらに無理難題を言わない思いやりのある男が、どれだけ稀少なものなのかは分かっていない。
 そして、シスにしても一般世間として隔絶した研究生活を送っていた人物だったこともあり、その知識を得た明もその希少さと重要さをあまり認識できていない。
 つまり、なぜ眼前の目を見張るような美少女が自分に好意を示していることが、腑に落ちないのだ。
 自分のいる状況に現実感を持てずに黙っている明を、ネティアは顔を真っ赤にして上目使いに睨み付けてくる。明の無言を拒絶ととったのか、瞳に絶望の色を浮かべると、みるみる涙があふれ出してくる。

「……わ……わたしじゃ……アーリャさんみたいな魅力とか色気とかないけど……アキラさんには物足りないかもしれないけど……な、なんでなにも言ってくれないの? わたしだってアキラさんのこと……この人しかいないって……でも…ひどいよぉ……ぐすっ、ひぃぃぃん……」

「い、いや……俺もネティアのことは好き、っていうか、可愛いと思うけどさ……うん、ネティアがそう言ってくれるなら、俺の方からお願いしたいくらいっていうか……」

 しどろもどろになって、顔を真っ赤に染めながら明がなんとか言葉を絞り出すと、涙が嘘だったのかと思えるほどネティアの表情がパッと明るいものに変わる。

「本当!? じゃあわたしのことはネティって呼んでくださいね! わたしもアキラって呼びますね!」

「あ、ああ……でも、ティティが許してくるのかな……」

 ふわふわとした現実感に乏しい気分だったが、最前ネティアに聞いたティティの過去のトラウマを思い出して、少し心配になる。いや、酔い潰れる前の雰囲気からすると問題ないかもしれない。
 ティティの反応が予測できず、明が首を捻っているとネティアがさらに爆弾を投下してきた。

「許すも何も、ティティにもアキラの恋人になってもらいますから! アキラは……ティティは嫌い?」

「えええ!? 本人の意思も聞かないでそんな! 嫌いとかそんなんじゃないけども! そもそも恋人が2人っておかしいでしょ!」

 上目遣いで潤んだ瞳で見上げてくるネティアだが、突然のトンデモ発言に明は慌てた。
 だが、ネティアは明の言葉の意味がわからないとでも言うように、不思議そうな表情で首をかしげている。

「変かな?」

「変だよ!」

「じゃあティティが起きたら訊いてみるとして……でもさっきわたしが部屋に入ってきた時の状況見た感じでは、ティティは断らないと思いますよ? あの子、一年前の事件以来、男の人とまともに口も利けなかったんですよ? それが自分から抱き付いていくなんて、これはもう決定ですね」

 ネティアは訳知り顔で腕組みして、うんうんと頷いている。

「い、いや、ティティのあれはニュアンスが違う気が……それよりも恋人が2人ってことの方が問題なんだって!」

「何言ってるんですか? 養う力のある人なら、伴侶が何人いても大丈夫ですよ? っていうか、複数いる方が普通ですよ。わたしの知ってる女の人でも旦那さんが3人いるって言ってた人いますし」

 OH! 合法ハーレム&逆ハーレム!
 なんというユルイ世界だ。
 あれ? シスの知識にこんなのなかったぞ? いや、魔王と言われた男のことだ、きっと「俺が法だ!」とか言って知ろうともしなかった可能性が高いが。

 ポカンとしている明に、ネティアがにこにこと無邪気な笑顔を向けている。
 この子、全部演技だったんじゃないだろうか? 浮かれていたけども、俺ってオトされちゃった方なんじゃないだろうか?

「……仕組んだな?」

「え? でも恋人なら魔術教えるのも普通でしょ? それに、わたしがアキラを愛してるか、っていうと自分でもよく分からないけど、少なくとも他の誰かよりはアキラとそういう関係になる方が自然、っていうか? それにアキラがいいって言ってくれたからこうして普通にしていられるけど、わたしだってすっごい悩んだしすっごい考えたんだよ!? もしフラレたらって思ったらすっごく怖かったんだよ!?」

 ネティアが身を乗り出して、頬を膨らませて明に迫ってくる。呼称こそ“さん”が取れたが、敬語が抜けきらないのか言葉がちぐはぐなのが妙にくすぐったい。
 何このカワイイ生き物。

「あー……ごめん」

 素直に謝ると、ヨシ、とばかりに頷いたネティアは、立ち上がってベッドの方に歩いていき、すやすやと眠っている姉に屈みこんだ。

「ありゃー、こりゃ起きそうにないな……ティティって、実はお酒飲むの初めてなんだ」

「そうなの!? すごい勢いで飲んでたから、てっきり飲みなれてるんだと思ってた」

「……ティティを担いで帰るのは無理だし、今日はこの部屋に泊っていい?」

「と、泊る!? いや、それはヤバイというか色々と問題があるような……」

 大胆な発言に驚いた明を他所に、ネティアはもう決定事項とばかりにローブを脱ぎ始めていた。
 夜も更けてきたというのに、階下の酒場はまだ賑わっているのか、酔客達が声高に会話する音が響いてくる。この分なら、モリガンが文句を言いにやってくることはないだろう。

「ほら、わたし達とアキラだったら、このベッドでも寝られそうでしょ?」

「え、寝るって、一緒に!?」

 ベッドは日本でいえばセミダブルとダブルの中間くらいの大きさがあった。冒険者などには体格の大きな者も多いためこれが標準サイズなのだが、確かに小柄な姉妹と明なら寝られないこともない。

「そうだよ? アキラの部屋なんだからアキラがベッド使うのは当たり前でしょ? ティティは動かせないし、他に寝る場所もないし、一緒に寝るしかないでしょ」

 こともなげに言うネティアが豪胆なのか、明が意識しすぎなのか。

「そ、そうだね。もう夜も遅いし……寝るか」

 きっと自分が意識しすぎなんだろう。そもそも隣に姉が寝ているとかいう状況で、付き合い始め初日からどうこうあるわけがない。

 そう自分に言い聞かせて、扉に閂がかかっているのを確認て魔道ランプの灯を小さくした明は、ぎこちない足取りでベッドへと近付いた。
 緊張にごくりと唾を飲み込むと、真っ暗な部屋の中で美少女双子姉妹と川の字になるようにベッドに寝転んだ。薄手の肌着だけになったネティアから、鉄の意志で視線を向けないようにして、背を向ける。
 明の体重を受けて、羽毛を詰めたマットの下でベッドの骨組みがギシリと軋んだ。





 隣から、2人の姉妹の寝息が聞こえてくる。
 変なところを触ってしまっては大変と2人に背を向けて身を縮めた明は、自分のおかれた状況に緊張しすぎて眠れなかった。
 悶々としながら、起こしてしまうんじゃないかと思い身動(みじろ)ぎひとつ出来ずにいると、聴覚が冴え渡ってくる。
 普段は気にならない隣室の物音や、酒場の喧騒がいやに耳につく。

 ギシッ。

 背後でネティアが寝返りを打った気配がして、ベッドの軋みに身を固くする。

「……アキラ、起きてる?」

 後頭部で囁くようにネティアが訊いてきた。寝ていたと思ったのに突然かけられた声に、ビクッと身を竦ませてしまう。

「う、うん。ちょっと緊張しちゃって。ネティアも起きてたんだ?」

「……わたしも緊張しちゃって……ふふ」

 ネティアの吐息がうなじにかかってくすぐったかった。

「ね、こっち向いて?」

 言われるままに、明は全身を緊張でガチガチに強張らせたまま、その場で反対に向き直った。

「っ!!」

 その瞬間、唇に柔らかい物が押し当てられた。その隙間から、チロリと柔らかく濡れた物が出てきて、明の唇を舐めて離れていく。

「ネ、ネティ!?」

 キスされ、唇を舐められたことに気付いた明が、驚きのあまり声をあげると、すぐにネティアの掌で口を覆われた。

「……ティティが起きちゃう」

 口から離れたネティアの手が、明の背中に回される。もう一方の腕も明の脇を通って、背中へと回された。ネティアが明を抱き締めるような態勢になり、明の匂いを嗅ぐように胸元に顔を沈めて大きく深呼吸する。ネティアの両脚が、明の左脚を挟むようにして全身を押し付けられた。
 感じたことのない気持ちのいい密着感に、半ば無意識に明の右手がネティアの背中をさするように動く。その手が、少し下まで降りすぎたのか、指先に一層柔らかい感触を覚えた時、ネティアがビクッと緊張した。

「ご、ごめん」

 お尻に触ってしまったのだと分かり、反射的に謝ってしまう。自分の胸元にあるネティアの頭を見下ろすと、薄明かりの中で見上げていたネティアと視線が絡んだ。

「…………いいよ?」

 緊張にかすれたネティアの囁きが聞こえた。





(なになになになになになんなの!? なんでこんなことになってるの!?)

 ティティは混乱の極地で声も出せずに身を固くしていた。
 横からは妹と明の囁き合う声が聞こえ、薄いマットから2人がもぞもぞと動いている気配が伝わってくる。
 酔いのため眠りが浅かったのか不意に浮上したティティの意識が、鼓膜をふるわせる声を拾ったのだ。酒精も抜けきっておらず半ば朦朧としていた思考が、一気に覚醒した。

「……んっ……アキラ、そ…じゃない……」

「ごめ……ここ?」

「あっ…………んっ……った……もうちょっ……っくり……」

 ネティアが無理強いされてると思い、反射的に跳ね起きようとしたところに飛び込んできたのは、やたらと甘く睦言めいた、姉の自分も聞いた事のないようなネティアの囁き声だった。

「……んぶ、入っ…よ。……まだ痛い?」

「だ………うぶ。あっ……ごくと…まだちょっと……………」

「あっ……ティ、…んなに締め…れたら、…バイ……」

「ふふふふ。……こう?」

「うぁっ! ヤバ………くっ、ならっ……」

「きゃっ! ……っくりって言ったのに……おな…が、中から押され……」

 ネティアが選んだのであれば、拒否するつもりはなかった。しかし。
 いけないと分かっていても、好奇心に駆られてつい薄目を開けてしまう。
 魔道ランプの小さな炎だけが照らす薄闇の中に、最愛の妹と、その上にのしかかる影が見えてしまう。常人よりも優れた狩人の視力は、火照った肌に浮き上がった汗の雫までもをとらえてしまう。
 まさか、妹の破瓜の現場一部始終を目撃してしまうとは、想像だにしていなかった。

「ネティ……もう…………」

 ベッドがギシギシとリズミカルに軋む音の中、明の苦しげな声がする。

「んっ………きて…………」

 ハッ、ハッ、という浅い呼吸の合間に、妹の途切れ途切れの囁きが聞こえる。

「……くっ!」

 低い呻き声とともに、ベッドの軋みが止む。力が抜けたように明の身体が妹の身体の上に横たわり、その背中を労わるように妹の手が撫でる。

 2人が唇を吸い合う湿った音がしばらく続いたが、ティティはホッとしていた。

(……これで、寝られる…………)

 ティティは身体から力を抜き、2人に気付かれないように安堵の吐息を細々ともらした。



 ところが。



「……ぁっ、また……」

「……はは。……いい?」

「う……うん……」



(勘弁してくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!)
 ティティは心の中で絶叫した。
果たしてティティは、ネティアの言うように明の恋人となるのか!? 乞ご期待!
+注意+
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