ベネッセ流出:再委託先SE逮捕へ 情報売却の疑い

毎日新聞 2014年07月15日 07時30分

 通信教育大手ベネッセホールディングス(岡山市)の顧客情報漏えい問題で、警視庁は14日、顧客データベース(DB)の保守管理を担当していた外部業者のシステムエンジニア(SE)の男について、一両日中にも不正競争防止法違反容疑で逮捕状を請求する方針を固めた。約760万件もの顧客情報が流出した問題は、刑事事件に発展する見通しとなった。

 関係者によると、DBの保守管理はベネッセのグループ企業「シンフォーム」(岡山市)に委託され、同社がさらに複数の外部業者に再委託していた。男はこのうちの一社に派遣社員として勤務し、DBに接続できる端末が置かれているシンフォーム東京支社(東京都多摩市)の一室に出入りしていた。

 男にはDBへのアクセス権限があり、昨年末に同支社の部屋から男のIDでログインし、複数回にわたり顧客情報をダウンロードした履歴が残されていた。

 警視庁の任意の事情聴取に対し、男は顧客情報を持ち出し、名簿業者に売却したことを認める供述をしたという。USBメモリーなどの記憶媒体にコピーして持ち出したとみられ、複数の名簿業者を経て、通信教育事業を手掛けるソフトウエア会社「ジャストシステム」(徳島市)に販売された。

 警視庁は男の勤務状況とDBのダウンロード履歴の照合や、持ち出された情報が同法で定める「営業秘密」に当たるかどうかなど、詰めの捜査を進めている。他に関与した人物がいないかも慎重に調べる。

 ベネッセによると、漏えいしたのは通信教育講座「進研ゼミ」などの顧客情報で、最大2070万件に上る可能性がある。【林奈緒美】

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