Financial Times

信頼よさらば:オバマ大統領のドイツ症候群

2014.07.15(火)  Financial Times

(2014年7月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

大統領は何を知っていたのか、そしてそれをいつ知ったのか。ちょうど40年前の8月に辞任したリチャード・ニクソンにはそんな質問が向けられていた。我々にウオーターゲート事件をもたらしたニクソン氏とバラク・オバマ大統領は、道徳の観点から言えば比較にならない。オバマ氏は悪者でもなければうそつきでもない。

 しかしそのオバマ氏も、残りの任期を台無しにしかねない大問題を抱えている。大半の人から信頼されなくなっているのだ。この見方は国内の批判的な人々だけでなく、同盟国にも広がっている。信頼されなくなれば、大抵は尊敬もされなくなる。

ドイツを怒らせた米国の「フレンドリースパイ」疑惑

移民制度の改革、下院の採決見送りにオバマ大統領が断行を宣言

オバマ大統領は歴史にどう名を残すのか・・・〔AFPBB News

 最も驚くべきはドイツの事例だ。まだ上院議員だったオバマ氏が世界への公約――再び信頼できる米国にする――を披露したのは2008年のベルリンでのことだったが、ドイツ人はもうあの言葉を信じていない。

 ある世論調査によれば、友好国を対象とする「フレンドリースパイ」の疑惑が発覚したことで、米国を信頼できるパートナーだと考えるドイツ国民の割合は40%を下回るに至っている。

 オバマ氏は米当局の二重スパイの件を知らなかったのか、それとも隠していたのか。ドイツ政府幹部の間では見方が分かれている。

 いずれにしても、オバマ氏はこの一件が発覚する前日にアンゲラ・メルケル首相と話をした際、このことを話題にしなかった。ドイツのヴォルフガング・ショイブレ財務相は、それだけでも十分に泣きたい気持ちになると語った。米国の親しい同盟国が米中央情報局(CIA)の駐在職員に国外退去を命じるというのは、まさに前例のない措置である。

 不信というのは漠然とした概念だ。ニクソン氏の場合、彼は悪者ではないかと国民が疑ったのはちゃんとした理由があってのことだった。だがオバマ氏に対する不信の念は、同氏には実行力がないという認識に基づいている。オバマ氏の発言はめったに行動に移されない。

ニクソン元大統領とは違うけれど・・・

 背景は違っても、その結果は大して変わらない。オバマ氏が何かを約束しても――例えば、データ監視からの保護の強化、米国移民政策の抜本改革の加速など――人々はこの言葉を信用しようとは思わなくなっている。本心から話しているとは思うかもしれないが、それを実行に移す能力があるとは思っていないのだ。

 共和党には、オバマ氏を巡る荒唐無稽な物語をいくらでも鵜呑みにする人がいる。徴税を担当する内国債入庁(IRS)を保守派狩りに利用しているとか、医療費を制御するために高齢者を粛清する計画を練っているとか、そういう話だ。

 しかし、陰謀論なら同氏が大統領に就任した時からごろ…
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