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刑事司法改革 原点は冤罪防止のはずだ

2014年07月08日(最終更新 2014年07月08日 10時41分)

 全ての改革には大切な原点がある。おろそかにすると改革の効果より弊害が大きくなりかねない。

 刑事司法改革をめぐる議論が大詰めを迎え、法務省が法制審議会の特別部会に最終案を示した。その内容は残念ながら、原点が揺らいでいると言わざるを得ない。

 原点は冤罪(えんざい)防止だったはずだ。

 厚生労働省の文書偽造事件で、検察官が強引な取り調べによって事件をでっち上げ、証拠を偽造し、上司が隠蔽(いんぺい)した。前代未聞の不祥事を受け、特別部会が設置されたのが3年前だった。その後、パソコン遠隔操作事件で今度は警察が4人を誤認逮捕し、うち2人は取り調べで虚偽の自白をした。

 密室の取調室での「捜査の暴走」をいかに防ぐか。この視点から取り調べの録音・録画(可視化)が議論の核心に浮上した。密室をガラス張りにすることで自白の強要や供述の誘導を抑止できる。外国でも多くの導入例があり、ごく妥当な展開だったといえよう。

 ところが、最終案が可視化を義務付ける事件は極端に少ない。裁判員裁判の対象事件と検察の特捜部などが手掛ける独自事件だけだ。起訴される事件の2%台に過ぎない。パソコン遠隔操作事件も、数々の冤罪が指摘される痴漢事件も、選挙違反事件も、全て対象外だ。検察は独自に可視化を広げる構えだが、警察捜査では可視化がむしろ例外になってしまう。

 一方で最終案は、可視化にこれだけ抵抗する捜査機関に新たな「武器」を与えようとしている。司法取引の導入と通信傍受の拡大だ。可視化で捜査に支障が出るとして、その見返りの形で検討されてきただけに、最終案には捜査側の「焼け太り」との批判もある。

 司法取引は自分の責任を逃れるために虚偽の証言などをしてしまう問題が指摘されており、冤罪防止のため慎重な制度設計が求められる。通信傍受も同様である。

 特別部会は9日にも結論を取りまとめる予定だが、可視化は時間がかかっても、全事件を対象とすることを法律に明記すべきだ。原点を貫く姿勢を示してほしい。


=2014/07/08付 西日本新聞朝刊=

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