July 14, 2014
なぜ、アメリカは海産物を輸入に頼るようになってしまったのか?
アメリカの漁業経済の破綻とその対策を扱った『American Catch: The Fight for Our Local Seafood(アメリカの漁業、地元の海産物を取り戻す闘い)』の著者、ポール・グリーンバーグ(Paul Greenberg)氏が疑問に答えた。
◆本の中で、アメリカは“海産物債務国”と形容されていますが、どういった意味ですか?
アメリカで消費されている海産物の85%以上は輸入されたものです。それなのに、漁獲量の3分の1、136万トン近い量が輸出されているのです。例えば、アラスカで獲れるサーモンの80%はアジアを中心とする海外・・・
アメリカの漁業経済の破綻とその対策を扱った『American Catch: The Fight for Our Local Seafood(アメリカの漁業、地元の海産物を取り戻す闘い)』の著者、ポール・グリーンバーグ(Paul Greenberg)氏が疑問に答えた。
◆本の中で、アメリカは“海産物債務国”と形容されていますが、どういった意味ですか?
アメリカで消費されている海産物の85%以上は輸入されたものです。それなのに、漁獲量の3分の1、136万トン近い量が輸出されているのです。例えば、アラスカで獲れるサーモンの80%はアジアを中心とする海外に売られています。
◆最初にアメリカガキが取り上げられていますね。
アメリカガキ(学名:Crassostrea virginica)は、カキの中でもアメリカ東海岸を原産とする唯一の種で、かつては食べきれないほど豊富に生息していました。地元経済に大きく関わっていたのはもちろんですが、環境にも深く関与していました。カキ1匹が1日にろ過する水の量は約190リットルにもなりますからね。
◆カキを復活させる取り組みについて教えてください。
1972年に水質浄化法が施行されて以来、ニューヨークの水質は少しずつ改善してきました。今では、水中の酸素濃度がカキの生息に十分なレベルに達しています。
また、マンハッタンの南に位置するガバナーズ島の高校ハーバースクールでは、2035年までにニューヨークの海に10億匹のカキを戻すことを目指す、ビリオン・オイスター・プロジェクトと呼ばれる素晴らしい活動に取り組んでいます。
◆次の話題はエビですが、「アメリカの漁業経済の破綻」の実例と考えたのはなぜですか?
アメリカ人が食べる魚介類の中でもエビの消費量は群を抜いていますが、90%はアジアを中心とする海外からの輸入に頼っているのが現状です。
◆エビ産業のアジアへのアウトソーシングと、バングラデシュにおける衣料産業といった他のアウトソーシングとの共通点について教えてください。
西欧諸国は、Tシャツであれタイ産のエビであれ、不当な条件の下で生産されたものに頼っています。しかし、アジアに委託しているのは経済インフラだけではありません。環境インフラまでもが委託されているのです。
というのも、エビやカキが生息するためには河口が機能している必要がありますが、海産物の大部分を海外から調達しているアメリカの河口は荒廃し、過去100年間で塩沼の約70%が失われてしまいました。
◆ヨーロッパでは、食料の調達や遺伝子組み換え作物の表示といったことに関する認識が根付いているようですが、アメリカは後れを取っています。なぜでしょうか?
ヨーロッパの人々は、日常生活の小さな喜びのためにより多くのお金を払うことに慣れているのだと思います。パリのアパートに住んでいて1日に2回もシャワーを浴びれば、かなりの請求がきます。それでも、彼らは大騒ぎしたりはしません。ところがアメリカ人は、より多くをより安く、より早く、より簡単に手に入れたいのです。食べ物についても同じです。
◆最後に、ペブル鉱山がアラスカ産サーモンに及ぼす悪影響について教えてください。
多い年には4000万匹ものベニザケが遡上を始める場所がアラスカ州のブリストル湾です。しかし、ここは価値にして3000億~5000億ドルと推測される金と銅の鉱床が見つかった場所でもあります。
採掘するためには、100億トンもの土や岩を掘り起こす必要がありますが、堆積物には硫黄が多く含まれます。その硫黄が空気や水に触れることで、環境が重大なダメージを被ると懸念されています。
Photograph courtesy of Penguin Group