Bloomberg News

 【ファンボロー(英国)】米航空機大手ボーイングの787型機(ドリームライナー)が最初に営業飛行してから2年半近くが経つが、同機の信頼性は依然として同社の当初の期待を下回っているほか、先行機の777型機の実績をも下回っている。

 ボーイング幹部は、当地で国際航空ショーが開かれる前日の13日、記者団に対し、世界で運航されている160機以上の787型機の信頼性が98%前後となっていることを明らかにした。しかし、787型機の曲芸飛行を翌日に控えるチーフ・テストパイロット、ランディ・ネビル機長はインタビューで、「これはわれわれが望んでいる数値ではない。現在までにはもっと上がっているはずだった」と話した。

 現在の信頼性水準の数値は、先行機である777型機の初運航後、比較可能な期間の実績をも下回っている。1994年4月に初運航した777型機は、業界で最も信頼性の高いジェット機の1つだと広く認識されている。

 信頼性の問題に大きな注目が集まっているのは、同社が787型機の拡張版である787-9型機を増産し、ライバルのエアバス・グループのモデルと競おうとしているからだ。

 787型機の飛行時間は、全日空が11年11月に運航を開始して以降、21の航空会社で49万時間以上に達している。同型機は、13年に数カ月間にわたって全機が運航中止になるという大きな挫折を経験した。2機でリチウムイオン電池が過熱する事故が起きたからだ。しかし、規制当局とボーイング関係者は、その後の修理で火災の危険はなくなったと発表した。

 ボーイングのランディ・ティンセス副社長(マーケティング担当)は13日記者団に対し、現在の信頼性の水準は上がっていると指摘、同社が航空会社の業務担当者と緊密に連携し、その他の変更を行っていることを明らかにした。同副社長は「当社の全ての顧客は徐々に信頼性の向上を確認できるだろう」と述べた。ただし787型機の信頼性がいつ777型機の実績(99%超)に並ぶのかを予測するのは避けた。

 昨年の運航中止以前に、787型機を運航する航空会社の一部は、信頼性の問題を緩和してボーイングの花形ジェット機をスケジュール通り運航するための異例の措置を取った。当時、航空会社は当初の787型機の運航スケジュールを維持するため、ボーイングに補修品を調達してもらったり、予備の航空機を準備してもらったりした。

 過去には、電子機器の冷却システムの欠陥などといった故障や問題が相次ぎ、一部の航空会社がその日の最初のフライトの時間よりずっと前に電子機器や飛行制御コンピューターのスイッチを入れるようにしていたことがあった。運航スケジュールに遅れないようにするため、必要であれば、システムを再起動できる時間の余裕があることが重要だと考えられていた。

 ボーイングは、設計変更が段階的に生産に組み入れられるなか、787型機の最新拡張版が信頼性を大幅に向上させると期待している。

 格安航空のノルウェー・エア・シャトルは、主に短距離を扱う航空会社だが、昨年787型機の燃費の良さを利用した長距離運航をスタートさせた。同社は787型機の一連の技術的な問題に悩まされて打撃を受けた。同社のBjorn Kjos最高経営責任者(CEO)は最近、787型機の信頼性が改善しているものの、あるべき水準にはまだ全く届いていないと述べている。