焦点:「2年で2%」の修正提言相次ぐ、財政状況が物価に追い付かず
[東京 14日 ロイター] - 供給力低下で物価上昇ペースが予想より早まる気配が出てきた中で、2年で2%の物価上昇を目標にする日銀の量的質的金融緩和(QQE)に対し、金融政策に詳しい民間識者の一部から、より長期間での達成へと切り替えるべきだとの声が相次いでいる。
1000兆円を超える債務残高を抱える日本にとって、速過ぎる物価上昇は長期金利の上昇を招き、歳出増につながるとの懸念があるからだ。政府・日銀にとって、物価・金利と、成長・税収のバランスが取れるよう、いかにソフトランディングさせるかが、この先の最大の課題となりそうだ。
<2%接近で高まる金利上昇への懸念>
7月上旬に都内で開かれた野村総研の金融市場パネル。そこでみずほ総合研究所・常務執行役員の高田創氏は「物価が2%目標に近づくタイミングでは、市場との対話により金利上昇に猶予期間を用意すべきだ」と表明。同氏は「財政と銀行が金利上昇に耐えうるように、体質改善することがポイントになる」と説明した。
東短リサーチ社長の加藤出氏も、出口戦略で先行する米国、英国でもいきなり国債を売却して長期金利の上昇を受け入れるという事態を回避する方向に議論が進んでいると指摘。「国民のためには、2年で2%の達成にこだわらなくていいのではないか」と提言した。
物価目標達成期限を来年に控え、日銀が約束通り2%に到達させたとしても、財政や経済には金利への耐性が備わっていないため「QQEの出口を先延ばしすべきだ」との議論だ。
消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)の上昇率が、まだ1%強の段階でこうした議論が活発化している背景には、人手不足による供給力低下が鮮明となり、この先も景気にかかわらず、物価上昇につながりかねない構造変化が起きているためだ。
一方で、財政再建は遅々として進んでいないという現実がある。物価が成長力強化に先んじて上昇すれば、歳出増加や金利上昇に伴う利払い費増など財政再建とのバランスが崩れかねない。 続く...
市場は政権支持率に警戒
滋賀県知事選での与党系候補の敗北は特段材料視されていないが、市場は引き続き注視していく構えだ。 記事の全文