仕事を確実に手際よくこなし、折り目正しく気品もある部下のことが、
気になる存在に変わってしまっていることに、つい最近気づいた。
その部下が入社したときに実名でググってヒットしたFacebookは秘かに観察していた。
「たまたま「知り合いかも?」で表示されたのだけど、もしかして君のこと?」と素知らぬふりをして
雑談を装って友だちになってみた。
だが、アレはダメだ。
朝と寝る前に、短い時間だが、確実にネットに接続していることがわかった。
FBでタグ付けされた写真をめくっていくと、人間関係の傾向がわかってくる。
よく登場していた人物が突然消えてしまうのは、
きっと元彼と別れた時期と前後しているのだろう。
いまは、付き合っている相手が誰か、
そして社内の噂と照合しておおむね見当はついている。
明日から、二人は揃って休みを取って泊まりがけで出かけるはずだ。
あすの今頃、二人は同じ部屋で相向き合っているのだろうか。
だが、彼女にとって、自分は、あくまで仕事で上下の関係のある上司にすぎない。
プライベートな歓心の領域に、下心を悟られずに近づくにはどうすればよいか。
一時期考えてみたのだが、いまその一線を侵してしまうのは、あまりにも危ないと感じた。
理由はいくつもある。
どれをとってみても、行動することで導かれる予想はデメリットしかありえない。
長い目で見れば、彼女は私的なパートナーではなく、仕事での有能なパートナーとしてとらえるべきなのだ。
それが、自分自身のためであり、組織のためでもあり、彼女のためでもあるはずなのだ。