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ウォーレン・バフェットがビル・ゲイツに「これ読んどけ!」と渡した本

ウォーレン・バフェットとビル・ゲイツは親友ですが、彼らが知り合った最初の頃、バフェットがゲイツに「これ読んどけ!」と渡した本があります。それは『Business Adventures』です。著者はジョン・ブルックスです。

ジョン・ブルックスは、名著、『Once in Golconda(むかし、ゴルコンダにて)』の著者として有名です。その本は1929年のニューヨーク市場の大暴落前後の出来事を描いており、僕がニューヨークの投資銀行に入社したとき、上司から「この本は、読んでおけ」と言われた数冊のうちのひとつです。

ブルックスは1960年代の投信ブームを描いた『The Go-Go Years(ゴーゴー・ファンド時代)』の著者でもあります。そこでは最初のカリスマ・ファンドマネージャー、ジェラルド・サイのキャリアなどが紹介されています。

ジョン・ブルックスの創作スタイルは、現代の作家に喩えれば、マイケル・ルイスとジェームス・スチュワートに近いと思います。

実際、マイケル・ルイスは『The Go-Go Years』のまえがきを寄稿していますし、影響を受けた作家だと公言しています。

まず(これは面白いな!)という実話に遭遇すると、その題材を徹底取材し、ストーリーの背景を、わかりやすく説明するマイケル・ルイスのスタイルは、そもそもジョン・ブルックスが確立したものです。

『Business Adventures』ではいろいろなビジネスの実話が収録されていますが、その中でもウォーレン・バフェットが(ビル・ゲイツなら、このストーリーに飛び付くに違いないな)と思い、一読を薦めた実話が「Xerox Xerox Xerox Xerox」です。

これはゼロックスを開発したハロイド社の物語です。当時はシリコンバレーでもボストンでもなく、ニューヨーク州の北の果て、ナイアガラの滝に近いロチェスターが、ハイテク起業のメッカだった様子が伝わってきます。

当時、ロチェスターの町で最も尊敬されていた企業はイーストマン・コダックです。今のシリコンバレーで言えば、さしずめグーグルやアップルといった感じでしょう。

カリフォルニア工科大学(カルテック)を卒業した素晴らしい研究者、チェスター・カールソンが電気を帯びた回転胴とパウダー(=後にトナーと名付けられます)を使って、コピー機を作ることに成功します。これにハロイドの経営者、ジョー・ウィルソンが飛びつくわけです。

ハロイドはこの手法を「Xerography(ゼログラフィー)」と名付けます。これはギリシャ語の「xeros(ゼロス=乾燥している)」と「grahia(グラフィア=書いたもの)」を合わせた造語です。

そしてKodakの綴りに限りなく似ている、XeroXという社名に変更します。

そこから先は……読んでのお楽しみ。

なお、『Business Adventures』は絶版になっていたのですが、ビル・ゲイツが「こんな楽しい本が絶版になっているのは惜しい」とし、版権を持っているジョン・ブルックスの息子にコンタクトし、最近、Kindle版だけが売られるようになりました。

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