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【プロ野球】

関本 代打逆転満塁弾で虎2位浮上

2014年7月14日 紙面から

7回表 2死満塁、左中間に逆転の1号満塁本塁打を放つ代打関本。捕手阿部=東京ドームで

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◇阪神6−4巨人

 阪神は1−3の7回2死一塁から代打・新井貴の右前打と上本の四球で塁を埋め、代打・関本が逆転満塁本塁打を放った。5−4の9回にも関本の適時打で加点した。岩田が7勝目を挙げ、呉昇桓が21セーブ目。巨人は沢村が一発に泣いた。

 乾いた打球音とともに、東京ドームに流れる時間が止まった。ファンが選手が、誰もが左中間へ舞い上がった白球を凝視した。長い長い滞空時間。その終着点は虎党が歓声を上げて待つスタンドだった。伝統の一戦で猛虎が放った史上初の代打逆転満塁弾。こんなことができるのは神様・関本しかいない。

 表情をピクリとも変えず、ダイヤモンドを一周した勝負師。「入ると思わへんかった。まさか、まさか」と振り返った場面は2点を追う7回だった。2死満塁、大和の打席でコールされた代打・関本。カウント2ボールで押し出し四球も視野に入る状況だが、そんな邪念はさらさらなかった。

 果敢に高めの真っすぐに食らいつく。結果はファウルだったが、この1球で明らかに空気は変わった。直後の4球目、145キロのストレートを捉えた打球は、歓喜の劇弾となって、左中間スタンドへ飛び込んだ。

 今季1号は自身初の代打逆転満塁弾。1点差に迫られた9回1死三塁の第2打席では、しぶとく二遊間を破りダメ押しの適時打を放った。抜群の働きに和田監督は「本当に大きな仕事。自分が決めるというスイングをしてくれた」と称賛を惜しまない。

 「プロに入って2、3年のとき、おやじ(幸雄さん)に謝罪されたことがあるんよ。違う道を勧めてあげればよかったって」。こう明かした関本は幼少期、奈良・御所工(現御所実)の外野手として甲子園出場経験のある父の「プロ野球選手になってほしい」という夢をかなえるため、二人三脚でその道を目指した。毎日のティー打撃、暗闇でのトレーニング。父と歩んだ日々の積み重ねがプロへの扉を開いた。

 その先に待っていたのは周囲の高い壁。生き残るために必死にもがく中、父の謝罪を聞いた。それでも関本の心にある揺るぎない信念は「継続は力。毎日、続けることでここ一番や勝負所で力が出ると信じてるから」。父と培い、学んだ積み重ねの大切さは今も決して忘れてはいない。

 その結晶が、TG激戦の歴史にその名を刻むグランドスラム。宿敵に勝ち越し、チームを2位へ再浮上させた“神の一撃”は、努力の2文字を抜きにしては語れない。 (重松健三)

 

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