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 人形浄瑠璃文楽の人間国宝、竹本源大夫(たけもとげんだゆう)さん(82)が引退することが14日、わかった。同日、正式に発表した。病気療養中で、引退興行などは行わない。5月に引退した竹本住大夫さん(89)に続く源大夫さんの引退で、文楽大夫の人間国宝は現役では空席となる。

 源大夫さんは1932年大阪生まれ。祖父は七代目源大夫、父は三味線の初代鶴沢藤蔵と、世襲のない文楽では珍しい文楽一家の出身で、住大夫さんは義兄。46年、八代目竹本綱大夫(つなたゆう)に入門。深い解釈に基づく重厚な語り口で近松ものを得意とし、94年から大夫最高位の切場語り。96年に大名跡の九代目綱大夫を襲名。2007年人間国宝。

 11年には自らの九代目源大夫襲名と同時に、三味線奏者の長男が二代目鶴沢藤蔵を継ぐ親子ダブル襲名を果たしたが、体調不良で休演がちとなり、4~5月の住大夫さん引退興行も出演を見合わせていた。

 大夫の人間国宝は55年の豊竹山城少掾(とよたけやましろのしょうじょう)、先代住大夫、八代目綱大夫が第1号。69年の綱大夫死去後、71年の竹本越路大夫(こしじだゆう)認定まで空席が続いた。89年5月には越路大夫が引退したが同月、当代住大夫が認定され現役空席とならなかった。(西本ゆか)