教師  日本人の思考は日本語で行われる。  日本語を使って
     ローマ字を覚える。  そのローマ字を使って英語を読む、
     そして書く。  そのうち繰り返しの訓練によってapple
     と言われれば、ぱっと書くことができるようになる。
     それで、いいのだ。

K君  いいんですか。  そういえば、ぼくもappleを書くのに
     もうアププレとは言っていませんね。

教師  K君はappleに関しては外人並みだね。

K君  またー、外人並みなんて。

教師  何を照れているんだ。  appleに関してだけだよ。
     外人並みと言っても、K君のコミュニケーションに関する
     脳構造は一番下の階層に日本語、その上にローマ字、
     次に英語、というようになる。  だからappleに関して、
     K君は外人並みではあるが外人ではない。

K君  ・ ・ ・ 当然です。  ぼくは外人ではありません。
     先生が何を言いたいのかわかりません。

教師  そうか。  私の言いたいことはね、英語能力に関して、
     日本語を最下層としたヒエラルキーの脳構造をつくって
     いくようにしないと後になって問題が発生するよ、という
     ことだ。

K君  大丈夫だと思いますけどね。  日本人なら日本語が一番
     下の層にあるんじゃないんですか。

教師  いやいやそう簡単なものではない。  日本語の階層自身を
     考えてみよう。  幼いときに獲得したやさしい言葉の層が
     あり、その上にもっと複雑な言葉の層があり、さらに
     その上にもっと複雑で抽象化された言葉の層、というように
     日本語の階層そのものが階層からできているんだ。

K君  なるほど、そうでしょうね。
                           (続く)


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