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【滋賀】

「後継」浸透、逆境しのぐ 県知事選、三日月さん初当選

当選確実の知らせを受け、支援者と抱き合う三日月大造さん(右)=大津市内のホテルで

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 十六年ぶりの新人対決を制したのは、四十三歳の元民主党衆院議員三日月大造さんだった。民主の支持率低迷から苦戦を強いられるとみられたが、嘉田由紀子知事の後継候補として支持を広げ、逆境をはねのけた。政権与党の全面支援で臨んだ元内閣官房参事官の小鑓(こやり)隆史さん(47)=自民、公明推薦=は、集団的自衛権の行使容認などで膨らむ政権への不信が逆風に。元教諭の坪田五久男氏(55)=共産推薦=は「全原発即廃炉」などと訴えたが伸び悩んだ。投票率は50・15%だった。

 午後十時過ぎ、関係者や支持者らが詰める大津市内のホテルに「当確」の一報が伝わった。「やったぞー」。喜びがはじけ、異なる政党や団体の関係者が手を取り合った。

 同十時半過ぎに姿を見せた三日月さんは、詰めかけた約二百人の支援者に「三日月!」コールで迎えられ、支援を受けた嘉田知事らとともに何度も万歳三唱。「みんなで力を合わせて県の自治を良くしていこうという訴えが届いた」と満面の笑みで感謝を口にした。

 民主、嘉田知事の支援母体の地域政党対話の会、社民などを中心とした政治団体「チームしが」を母体に選挙戦を展開。連合などの支援を受けるこれまでの選挙戦略を踏襲しつつも、親しみやすさを打ち出して子育て中の母親らとの小規模集会を重ね、嘉田支持層を着実に取り込んだ。

 嘉田知事と武村正義元知事が応援弁士を務め、篠原孝衆院議員(長野1区)ら民主時代の盟友が後方支援にまわる戦略も奏功した。

 選挙戦で「卒原発」を掲げた三日月さんは「日本のエネルギー政策の極めて大きな一歩となった」と総括し、「嘉田知事のバトンを継承し、発展させてほしいという思いに応えていきたい」と決意を新たにした。

◆小鑓さん「知名度 徹底しきれず」

厳しい表情で支持者に頭を下げる小鑓隆史さん=大津市の事務所で

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 大津市馬場の事務所を重苦しい空気が包んだ。三日月さんの「当選確実」が伝わると、支持者らは言葉を失い肩を落とした。午後十時四十分ごろ、硬い表情で姿を現した小鑓さんは「訴えが届かなかった」と深々と頭を下げた。

 いち早く出馬表明して知名度アップと経済再生などの主張浸透に傾注。着々と準備を整え、政権与党の支援を追い風にした“勝てる選挙”だった。

 ところが、選挙期間中に集団的自衛権行使容認の閣議決定があり、自民党所属議員のやじ問題もあって、党支援がかえって裏目に。選挙戦を振り返り「右も左も分からぬ状態で四カ月前にゼロから始め、本当に多くの方に支援をいただいたのに…」と唇をかんだ。

 国家公務員の職をなげうって挑んだ一戦。今後については「まったく考えられない」とだけ話し、選挙対策本部長の吉田清一県議(自民)は「知名度と訴えの浸透が徹底しきれなかった。残念だ」と述べた。

◆坪田さん「訴えの中身、届いた」

敗戦が決まり支援者と握手を交わす坪田五久男さん(左)=大津市の事務所で

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 開票開始直後から大津市梅林の事務所で支持者とともにテレビの速報を見守った坪田さん。「支えてくれた皆さんに感謝を言いたい」。敗戦が分かった後には晴れやかな表情で選挙戦を振り返った。

 選挙戦では「安倍政権の暴走にノーの審判を下す」「新幹線新駅よりも暮らしに予算を」と一貫して主張。大飯原発の再稼働を認めないとする福井地裁判決を追い風に原発ゼロを掲げ、一日以降は集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に批判を展開。聴衆の反応に手応えを感じていた。

 坪田さんは笑顔を見せながら支持者一人一人と握手を交わし、取材には「今の国の政治や県政の問題について一生懸命訴えられた。その中身は届いたと思う」と語った。

 (知事選取材班)

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