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【政治】

滋賀知事選自公敗れる 集団的自衛権・やじ影響

2014年7月14日 07時03分

 任期満了に伴う滋賀県知事選が十三日投開票され、無所属新人の元民主党衆院議員三日月大造氏(43)が無所属二新人を破り初当選した。自民、公明両党推薦の元経済産業省官僚小鑓(こやり)隆史氏(47)との接戦を制した。選挙期間中に政府が集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定を行ったことや、自民党議員の女性蔑視やじ問題によって批判が拡大した影響は否定できず、安倍政権にとって打撃だ。

 来春の統一地方選を控え、自民党はともに重点選挙と位置づける十月の福島、十一月の沖縄両県知事選への弾みとする狙いだった初戦を落とした。安倍晋三首相は「地方創生本部」の新設を含め、より地方を重視する姿勢を強めることが予想される。

 隣接する福井県に立地する原発の再稼働問題は議論が深まらなかった。ただ三日月氏は十三日夜「嘉田由紀子知事のバトンをしっかり継承する」と大津市のホテルで記者団に語った。

 三日月氏は二期務めた嘉田氏の後継指名を受け、「卒原発」など県政継承を公約。政党の推薦を求めず、無党派層への浸透を図る戦略が奏功した。民主党は事実上、組織的に支援し、推薦した連合がフル回転し組織票も取り込んだ。民主党は知事選勝利を反転攻勢の足掛かりとしたい考えだ。

 投票率は50・15%で、参院選と同日だった二〇一〇年の前回選挙を11・41ポイント下回った。

 小鑓氏は安倍政権の成長戦略立案に関わった実績をアピール。自民党の石破茂幹事長や菅義偉(すがよしひで)官房長官ら政権幹部が地元入りし、日本維新の会の地元組織も推薦。地元経済の再生を掲げたが及ばなかった。

◆安倍政権に不信

 滋賀県知事選で自民、公明両党が推薦した小鑓隆史氏が敗れた背景には、十分な議論のないまま集団的自衛権の行使容認を閣議決定したり、自民党議員による女性蔑視やじが相次いで発覚したことをめぐる安倍政権への不信がある。

 選挙戦は原発政策が焦点になるとの見方があった。だが、論争は低調なまま、序盤は小鑓氏が有利とみられていた。自民党が六月に行った情勢調査でも高い政権支持率をバックに小鑓氏がリードしていた。

 だが、安倍晋三首相が集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更を選挙期間中の七月一日に閣議決定すると、潮目が変わった。戦後の歴代政権が維持してきた憲法解釈を、国民的な議論のないまま変更したことに対する有権者の不信が、選挙情勢の変化に表れたといえる。本紙の投票直後のアンケートでも、解釈改憲反対が六割を超えた。

 追い打ちをかけたのが東京都議会と衆院の自民党議員による女性蔑視やじ。報道各社の世論調査で接戦が伝えられると、現地入りした野田聖子総務会長は苦戦の要因として、集団的自衛権とやじ問題を挙げた。

 小鑓氏の敗北について石破茂幹事長は十三日夜、都内で記者団に「重く受け止めないといけない」とした上で「集団的自衛権について、よく分からない、もっと説明してほしいという声が少なからずあったと聞いている。それを十分踏まえて、今後臨まないといけない」と強調せざるを得なかった。十月の福島県知事選、十一月の沖縄県知事選に向けては「今この瞬間から、反省、教訓、改善に取り掛からなければならない」と指摘した。 (宮尾幹成)

(東京新聞)

 

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