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2010年5月24日 (月)

ザスパ草津U-18、強豪との対戦

関東クラブユース選手権二次予選
5月22日 @巣鴨養和グラウンド
三菱養和SC 6-0 ザスパ草津U-18
[得点者]
3分・88分佐藤、14分・72分田中、40分川上、44分櫻岡(※88分の6点目はもしかしたら違う子かも…、※時間は公式記録ではないです)

現在、群馬ユースリーグ1部で戦っているザスパ草津U-18が、カテゴリー的には2ランク上であり、実力差で言えば大人と子供ぐらいレベルが離れている相手の、三菱養和SCユースと対戦。U-18倉尾監督も試合前、レベルの違いすぎる相手に対して「今日は相手に攻め込まれるから、守備を重視していく」と意思統一を図ったのだが、どこまで耐えられる心配だった…

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【三菱養和】
FW:10田中
MF:24川上、8近藤、7佐藤
MF:28??、6内藤
DF:3 後藤、22冨田、5櫻岡、12川田
GK:30永井

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【草津U-18】
GK:12
DF左から14、5、3、13
MF左から6、17、8(井田)、10(17、8はボランチ)
FW9、18
(すいません、名前と背番号が一致しません…)

養和のスタメンだが、正直、今日は「飛車角抜き?」のメンバーで来るかと思われたが、名古屋内定のU-18代表FW田中輝希も出場するなど、かなりガチなメンバーを揃えてきた。

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さて試合だが、キックオフ直後から力の差の違いを見せつけられてしまう。開始直後にCKを奪うと、そこから先の45分間、養和の猛攻が続くこととなる。3分にFKのチャンスを得ると、これを佐藤が直接決めて早くも養和が先制。その後も猛攻が続き、U-18は自陣から出ることすら出来なくなってしまう。

ドリブルの速さ、パスの正確さ、パススピード、プレスの速さ、球際の強さ、戦術眼の高さ、運動量…

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どれをとっても養和の選手に太刀打ちできないU-18の選手たち。監督が最初に「今日は攻め込まれる…」と言ったが、本当にひたすら守るだけとなってしまう。しかし、そこで問題だったのは、「攻撃的に守る」ということがまったく出来なかったことだ。完全にどん引きにさせられてしまい、中盤の4人もバイタルエリア付近まで下げられてしまい、相手ボランチは常にフリーの状態となってしまう。

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こうなると、相手両サイドバックも常にフリー。ボランチから両サイドに展開されれば、あっという間にゴール前に攻め込まれ、次々とピンチを迎えてしまう。高いラインを保ちながら2ブロックを築いて「守備的」に戦うのならばいいのだが、ラインも下げられ、ブロックも築けず、ただ人数だけ後ろにいっぱいるだけという状況であれば、養和の攻撃を止めることは無理というもの。

結局、前半は4点入ったのだが、シュート数を見ると15-0。ポゼッションもたぶん9:1ぐらいの割合。ちなみにGKはバックパスを3回受けただけ。センタバックの冨田も、相手との競り合いなどはなく、パスを数回繋いだだけ。それぐらい、草津U-18は前にボールを出せなかったということであり、全体的な内容も「絶望的」と言ってしまっていいほど、力の差を見せつけられてしまった。

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こうなってしまうと、どんな戦略よりも、気持ちで奮い立たせるしかない。ハーフタイムでは「落ち着いてプレーする」、「勇気を持って前に出ること」、「自身をもってプレーしよう」を指示されて後半のピッチへ向かう草津U-18。

後半に入ると、前半かなり攻撃の起点となっていた28番に替わって、14番川崎を投入。ポジションをそのまま替わっただけで、後半も4-2-3-1のままの養和。相変わらず後半も完全にゲームの主導権を握っているのだが、前半のような「好き勝手」とまでは行かなくなってきた。

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ハーフタイムで気持ちを入れ替えたU-18は、前半よりも前に出て行こうという姿勢が見えてきたのだ。守備ラインも混乱した上での「ドン引き」ではなく、しっかりと相手の攻撃を見ながらラインを維持した守りが出来るようになる。すると48分、カウンターからFW18番が前でボールを受け、距離はあったが、この試合での初シュートを放つ。

前でボールを受けることすら出来なかったU-18だが、守ってカウンターという流れがやっと出来るようなると、守備でも徐々にリズムを掴みだしてくる。相変わらずポゼッションされているが、しっかり走って相手を囲むディフェンスで、前半のように簡単にシュートを打たせない。

後半はやや膠着した時間が続くことになるのだが、U-18の奮起もあったことは確かなのだが、養和が普段以上にボールを持てることから、油断というか普段やらないようなプレーをしてしまったことも、膠着が続く要因となってしまう。前半のように、シンプルに早く繋いで崩していくという形を続けていれば、もっと点を取れたかも知れないが、後半に入ると前半に比べて、やや球離れが悪くなり出していたことが目についた。

養和にとっては、負けることはないにせよ、やや悪い流れだな…と思い始めた時間帯。そんなときにこそ、流れを変える仕事ができるのがエースである。72分、田中が一瞬の隙をついて、ペナルティエリアの外からループシュート。相手GKが前に出ていたことか確認した上で放った一撃は、見事にゴールマウスに吸い込まれ、これで5-0。

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勝負こそほぼ決定しているが、このされた時間で一矢報いたいU-18は気落ちせず、なんとかボールを奪ってカウンターからチャンスを作ろうとする。77分、カウンターから初めてGKも飛び出そうとするシーンが訪れる。結局相手DFも対応したことでシュートは打てなかったが、この日一番のチャンスシーンでもあった。

しかし、チャンスといってもカウンターからであり、前にはFWの2人しかいないために分厚い攻撃なんて仕掛けられない。当然、連続攻撃なんて出来ないので、すぐにまたピンチを迎えてしまう。そして88分、左サイドを突破した川上から、中央の田中に渡り、これを横でフリーになっている佐藤(もしかしたら別人?)に流し、完璧にDFラインを崩して楽々6点目をゲット。

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その後、反撃しようにも相手のポゼッションを破れ事が出来ず、6-0で試合終了。ただ、後半に関してはシュート数では8-2と前半に比べたらやや健闘。養和としては、実力差のある相手に、もっと点を取りたかったし、交代した選手がもっといい働きをして欲しかったところだったが、手放しで褒められない内容であり、決して収穫のあった試合とは言えなかった。

さて、内容的には何も出来ず、完敗に終わってしまったザスパ草津U-18だが、相手との実力差を考えれば、0-6で終わったことはある意味「上出来」だったかもしれない。選手は「何もやらせてもえなかった」「まったく通用しなかった」と試合後は口を揃えていたが、もし、昨年のあの大敗(0-21)が無かったら、この日の試合は、大きく崩れて大敗していたかもしれない。

出ている選手は違うが、一つ一つの経験が重なってチームは強くなっていくもの。あの大敗から今の選手が何かを学び取ったからこそ、この日は「試合」として成り立っていたはず。確かに何一つ通用しなかった。選手の体格でも、完全に負けていた。それでも、後半は食らいついていく姿勢をしっかりみせてくれた。

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U-18は、群馬県ユースリーグ1部のチームであり、前橋育英Bチームにも勝てないのが現状である。だが、養和やその他のJユースクラブとて、発足当時は「弱小」であった。弱小時代の惨敗を糧にして歴史を積み重ね、今の地位を築いているのである。この、関東クラブユース・二次予選ではU-18にとってどれも「格上」との対戦になるが、勝った負けたではなく、次に残る「何か」を試合ごとに得て、積み重ねていって欲しいと願いたい。また、この日の田中のように、世代を代表する素晴らしい選手と対戦できる貴重な機会なのだから、1分たりとも無駄のないように戦って欲しい。

正直なところ、ここから「次世代のトップ選手」が出てくるどころか、プリンスリーグ1部に昇格するまでに5年以上はかかりそうだが、しっかりと新しい「芽」が育つように、地道に積み重ねていくしかないだろう。

植木GM曰く、ユースチームは「根気が勝負」だから…

まあ、トップも「根気」が無ければ到底、見ていられませんがね。

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