イスラエル:海軍特殊部隊 ガザ北部に上陸、ハマスと交戦

毎日新聞 2014年07月13日 21時27分(最終更新 07月14日 00時48分)

ガザ周辺の地図
ガザ周辺の地図

 【ガザ市(パレスチナ自治区ガザ地区)大治朋子】イスラエルの海軍特殊部隊は13日未明(日本時間同日午前)、パレスチナ自治区ガザ地区の北部に上陸し、イスラム原理主義組織ハマスの戦闘員と交戦した。軍当局によると、特殊部隊はハマスの長距離ロケット弾発射施設などを破壊し、撤収した。軍側は同日午前、北部一帯の住民に退避を求め、空爆や陸上部隊の投入などによる大規模軍事作戦の態勢を整えた。

 特殊部隊は海岸沿いのガザ地区北西部スダニアでロケット弾発射台などを破壊した際、戦闘で4人が負傷した。ハマス側の死傷者は不明。ガザ地区でイスラエルとハマスの地上戦が確認されたのは、イスラエルが軍事作戦を開始した8日以来初めて。

 イスラエルのネタニヤフ首相は13日の閣議前演説で「静寂を取り戻すためガザで作戦を継続する。いつ終了するか分からない。長期化する可能性もある」と述べた。首相は地上侵攻に踏み切る可能性を否定していない。陸上部隊の投入に踏み切った場合、地上戦は2009年1月以来となる。

 イスラエル軍は12日までにガザ地区との境界に陸軍大隊を集結させ、多数の兵員搬送用装甲車を配備した。イスラエル政府は既に最大4万人の予備役招集を承認しており、地元メディアによると、現在2万人前後の配備が完了している。

 イスラエル軍はガザ北部住民に対し、上空からのビラ配布や携帯電話への一斉メッセージなどを通じ、「短期間で一時的な」軍事作戦を予告、退避を呼びかけた。13日中にも北部で空爆を実施し、ハマスやイスラム過激派組織の長距離ロケット弾関連施設などを徹底破壊する可能性がある。

 ハマスなどは8日以降、イスラエル側に計800発以上のロケット弾を発射。イスラエル最大の商業都市テルアビブなどでは連日非常サイレンが鳴り、市民がシェルターに駆け込んでいる。イスラエルはガザ地区の1370カ所以上を空爆。パレスチナ人167人が死亡し、1120人が重軽傷を負った。イスラエル側は23人が負傷している。

 イスラエル占領下のヨルダン川西岸パレスチナ自治区ヘブロンで6月、ユダヤ人少年3人が殺害される事件があり、イスラエルはハマスの犯行と断定。パレスチナ人600人以上を逮捕し、反発したハマスがロケット弾攻撃を拡大した。

最新写真特集