集団的自衛権:公明「政治決断せざるを得ない時期が来た」

毎日新聞 2014年06月30日 22時39分(最終更新 07月01日 06時51分)

公明党の安全保障に関する合同会議に臨む(左から)北側一雄副代表、山口那津男代表、井上義久幹事長=衆院第2議員会館で2014年6月30日午後2時3分、森田剛史撮影
公明党の安全保障に関する合同会議に臨む(左から)北側一雄副代表、山口那津男代表、井上義久幹事長=衆院第2議員会館で2014年6月30日午後2時3分、森田剛史撮影

 ◇平和の党、連立を重視

 公明党は30日、党所属の全国会議員を対象にした会合で、集団的自衛権の行使容認に関する対応を執行部に一任し、行使容認を受け入れることを決めた。出席議員からなお慎重論が相次いだものの、井上義久幹事長は「もはや議論している時ではない。政治決断せざるを得ない時期が来た」として、拍手の形で了承を押し切った。連立維持を優先する執行部側に対し、拍手に応じない議員もおり、今後の安全保障法制の整備に向け、火だねはくすぶっている。

 全国会議員を集めた党会合は今回で14回目を数え、約45人が出席した。3時間に及ぶ会合で、出席者からは憲法解釈の変更について「論理的一貫性がない」との批判に加え、与党協議の進め方に関しても「拙速」などの不満が出た。会合終了後も「憲法解釈を変えるほどの安全保障上の必然性、緊急性があるのか」との疑問が消えていない。

 一任を取りつけたはずの公明党執行部は、党内向けの説明に追われている。7月1日の閣議決定後、与党協議の経緯について、党員・支持者への説明に力を入れる方針。5日には各都道府県の代表らを集めた県代表協議会を改めて開くほか、党幹部が支持者に直接、説明する「全国行脚」も予定している。

 創価学会という強固な支持母体でつながる公明党内で、ここまで議論が割れるのは異例のことだ。「平和」を党是とし、集団的自衛権の行使容認に反対の姿勢を貫いてきただけに、党方針を大転換した衝撃は大きい。党執行部も与党協議に関する情報を十分、説明してきたとは言えず、協議メンバー以外の国会議員からは「情報過疎だった」と不満の声が漏れる。

 政府・与党は閣議決定を踏まえ、今秋の臨時国会以降、具体的な安保法制の整備を本格化する。共産党の山下芳生書記局長は30日の記者会見で、集団的自衛権行使容認に転じた公明党の対応について「党の掲げてきた『平和の党』という旗を完全に降ろしていただかなければならない」と批判。行使容認に慎重な公明党議員は「悔しいけれど、政治判断というより政局判断だ」ともらした。【阿部亮介、水脇友輔】

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