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 ビアガーデンなどで夜にお酒を飲む機会が増える夏は、酔って外で眠り込む人が目立つ。その裏に潜むのが、バッグや財布を盗む「仮睡者狙い」だ。

 愛知県警は12日未明、マッサージ店経営の男(34)を窃盗の疑いで現行犯逮捕した。名古屋市中区のビルの軒下で寝ていた会社員男性(42)のバッグから、現金1万6千円を盗んだ疑いがある。男性は酒を飲んでいた。犯行現場を警戒中の警察官が確認したという。

 こうした手口は、置き引きやスリなど窃盗の常習者に多い一方で、通りすがりに出来心で手を伸ばしてしまうケースもある。このため、愛知県警は被害が増える初夏から態勢を強化。記者は6月下旬、夜の街で目を光らせる捜査3課の対策班に密着した。

 「男がこっちに向かっている。ジェイだ」

 午前0時ごろ、名古屋市中区の金山駅から少し離れた路上で、捜査員がつぶやいた。警戒対象者はそれぞれ隠語で呼ばれている。窃盗の常習犯、「ジェイ」の尾行が始まった。