法制審部会:超長期裁判、裁判員抜きで審理へ

毎日新聞 2014年06月26日 21時42分

 2009年5月に施行された裁判員制度の見直しを検討していた法制審議会(法相の諮問機関)の部会は26日、裁判員の確保が難しい長期間の裁判(超長期裁判)を裁判官だけで審理できるようにする規定を盛り込んだ要綱案を了承した。「超長期」の具体的期間は「基準を示すのは難しい」として明記しなかった。法務省は法制審の答申を待ち、今秋の臨時国会に裁判員法改正案を提出する。

 要綱案は裁判員裁判の対象から除外できる超長期裁判について「争点や証拠を絞り込む公判前整理手続きを経ても著しく長くなり、裁判員の確保が難しい場合」とした。裁判の途中で裁判員が不足した場合も同様に対象外とできる。

 裁判官が除外すべきか判断する際は「過去の事例も考慮する」とされたが、これまでも3カ月程度は裁判員裁判で審理されており、除外対象となるのは少なくとも審理期間が1年以上に及ぶケースとなる可能性が高い。現場の裁判官が難しい判断を迫られる場面もありそうだ。

 また、要綱案は重大災害で生活の再建が必要な裁判員候補者の辞退を認め、東日本大震災級の災害で被災したような候補者については呼び出さない措置も取れるとした。裁判官らが選任手続きで性犯罪被害者らの氏名や住所を理由なく裁判員候補者に明かしてはならないとし、そうした情報を知った候補者が公表することも禁じた。

 裁判員法には施行から3年経過後に見直しを検討するとの規定がある。【和田武士】

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