国民年金:免除申請勧奨も影響…納付率回復

毎日新聞 2014年06月23日 23時09分

 厚生労働省は23日、国民年金の保険料納付率が2013年度は20代を中心に改善し、全体では前年度を1.9ポイント上回る60.9%になったと発表した。景気の回復に加え、年金記録問題が一段落し、日本年金機構の職員を保険料徴収に振り向けられるようになったことが大きい。ただし、若者を中心に保険料の免除申請を勧めたことも影響したようだ。免除を受けると無年金にはならない半面、納付するよりは年金額が低くなる。免除者の増加は将来、低年金に陥る人が増えることにつながる。

 国民年金保険料の納付率は、1976年度に96.4%まで伸びたものの、近年は低迷し、11年度は過去最低の58.6%に低下した。その後2年連続で上昇し、13年度は08年度(62.1%)以来、5年ぶりに60%台に回復した。

 世代別にみても、13年度は全年代層(5歳刻み)で前年度を上回った。特に20〜24歳(56.3%)は5ポイント上昇し、25〜29歳(49.9%)も3.1ポイント改善した。地域別でも全都道府県で改善した。

 ただ、改善の原因は滞納対策の強化だけでなく、生活が苦しい若者らに保険料免除を申請するよう働きかけたことにもあるようだ。免除を受けると未納とはみなされず、これまで未納だった人が免除を受けると、見かけ上納付率はアップする。13年度、納付義務がある人は1805万人と前年度より58万人減る一方で、免除などを受けている人は19万人増の606万人と、全体の3分の1を占めるようになった。

 原則、未納の間は年金の受給資格期間(25年、15年10月から10年)に数えられないのに対し、免除されている間は受給資格期間にカウントされる。免除期間に対応する将来の年金は、税金から本来の半額が支給される。

 それでも、国民年金は満額でも月約6万4000円。減額されると、老後の支えとするには相当厳しい。

 そうした中、厚労省は16年7月から、現在30歳未満にしか認めていない納付猶予制度の対象を50歳未満まで広げる。猶予期間は受給資格期間には数えられるが、年金額には反映されない。保険料を追納できないまま老後を迎える人が多くなると、さらに低年金の人が増える可能性もある。【中島和哉】

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