アスリート食堂:体育大の健康メニュー、都心でどうぞ
毎日新聞 2014年07月12日 13時00分(最終更新 07月12日 13時27分)
国内唯一の国立の体育大学、鹿屋(かのや)体育大(鹿児島県鹿屋市)がメニューを監修する「鹿屋アスリート食堂」が6月、東京都内に開店し、話題になっている。スポーツ栄養学に基づいたバランス食を提供する新しい取り組みで、健康計測機器メーカー「タニタ」(東京都)の食堂に続くヒットになる?【金秀蓮】
食堂は、外食業の「バルニバービ」(大阪市)が運営するランナー用更衣室などを備えた施設「10OVER9」(千代田区神田錦町)の中にある。同社と鹿屋体育大、そして食材を提供する鹿屋市の産学官連携プロジェクトとしてスタートした。
昼休みや夕食時には、周辺のオフィスで働く人々や「皇居ランナー」らでにぎわう。ランニング後、仲間と一緒に利用した杉並区の青木伸暁さん(42)は「『食事にもこだわれる場所があるといい』と思っていた。栄養が偏らないようにメニューが作られているので便利」。渋谷区の小田明さん(35)も「ランニングをするとおなかがすくが、しっかり満たしてくれる」と話す。
「食生活を改善すれば、学生たちはもっと強くなれる」。プロジェクトは、鹿屋体大講師(スポーツ栄養学)の長島未央子(みおこ)さん(33)の思いがきっかけになった。約800人が在籍する同大周辺には、練習後、夜遅く帰宅した時に開いている飲食店がほとんどなく、学生の栄養管理は不十分になりがちだった。陸上競技をしながらの減量に失敗した長島さんの経験からも、食生活のサポートの必要性を感じていた。
スポーツ栄養学の基本は、消費エネルギーを補給しつつ、減量・増量の必要に応じて摂取カロリーを調整し、必要な栄養分を十分にとること。特に減量の際に栄養が偏ると筋肉量が落ちることから、ビタミン、ミネラルなどがより多く含まれる食材を食べることが大切という。
長島さんは、この考え方をメタボ対策などに取り組む市民の健康サポートにも応用したいと食堂の開設を提案。昨年9月、産学官プロジェクトが本格始動した。今年4月には大学のすぐそばにメニュー開発と学生支援の拠点となる「研究開発本部」を開店。夜11時までの営業で学生らの人気を集める。今年度中には東京・両国、品川への出店も計画している。