文部科学省は、幼稚園や保育所に通う5歳児の教育について、2015年度にも所得制限を設けて無償化するための案を固めた。無償化の対象は年収360万円未満の世帯を検討中で、その場合は約300億円が必要になる。所得制限の線引きなどは政府内で今後、協議される可能性があり、曲折も見込まれる。

 幼児教育をめぐっては、政府の教育再生実行会議が今月3日、3~5歳児の無償化の段階的な推進を提言。実施する場合必要となるお金は、所得制限を設けなければ5歳児だけでも約2600億円と多額だ。このため文科省は、来年度予算で実現可能な額になるよう対象を検討してきた。

 ただ、所得制限の線引きが案の通りになるかは不透明だ。幼稚園は文科省、保育所は厚生労働省と担当が分かれているが、保育の受け皿を充実する新制度の15年度スタートを前に3千億円超の財源のめどが立っておらず、厚労省としてはその不足分の確保を優先したい事情もある。案では3分の2程度を負担することになっている自治体からの反発も予想される。