ガザ空爆:「逃げるところない」1160カ所126人死亡
毎日新聞 2014年07月13日 09時38分(最終更新 07月13日 15時23分)
【ガザ市(パレスチナ自治区ガザ地区)大治朋子】イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を拠点とするハマスらとの戦闘に巻き込まれたガザ市民が、連日集中爆撃を浴びている。交戦は12日で5日目に入り、イスラエルによる空爆は計1160カ所、ガザ側の死者は126人に達した。12日早朝には、イスラエルが重度障害者施設を空爆、女性2人が死亡、4人が重傷を負った。市民は「安全な場所などない」と怒りを募らせている。
「20メートルほど先にいた車が突然爆撃され、僕も吹き飛ばされた」。サディ・セルミさん(18)は9日夜、モスク(イスラム礼拝所)からの帰り道に空爆に遭遇した。
イスラエルはガザ中部の東側の一部地域に10日、退避勧告を出した。セルミさんの家族9人は事態を見越して、既により安全とされるガザ市中心部の親戚宅に身を寄せていた。「まさかこんなことになるなんて」。避難先で重傷を負ったセルミさんは悔しそうに病院のベッドで天井を見つめていた。
目の前で爆撃されたのは「TV」と大きな文字を明示した乗用車だった。車内にいたのは地元メディアの記者1人。関係者によると、ガザを拠点とする武装組織「イスラム聖戦」の軍事部門アルクッズ旅団の関係者1人を直前まで乗せていたという。イスラエルはハマスや同旅団メンバーを空爆で暗殺している。
イスラエル軍は12日午前4時半ごろ、ガザ北部ベイトラヒアで重度障害者施設を戦闘機で空爆。女性2人が死亡した。養護担当のサルワ・アブルブンサンさん(52)は重傷を負った。サルワさんは「どうして障害者施設を空爆するのか私にはわからない」と話した。
ガザ市内に住むムハンマド・アブ・ゴリさん(15)は8日夕、友達2人とパンを買いに行った帰りに自宅近くで空爆に巻き込まれた。両足を複雑骨折し手術を受けたが、隣国エジプトでより高度な治療を受けなければ歩けなくなる可能性もあると医師に告げられた。病院がパレスチナ暫定政府を通じてエジプト側に申請中だが「いつになるか分からないと言われた」(叔父)。