ひとみは、台所から流れてくる 入れたてのコーヒの香りで目をさましました。ふと台所の方を見ると
姉の薫が流し台の傍らに立ち朝食の準備をしています。私は顔を横に向けて 姉の方を見ています
姉の薫のロングの髪が 台所の小窓から流れ来る風によって気持ちよさそうに棚引いています。
姉は こちらを向き 「ひとみ、おきたの?だっら、もう起きて食事にしない?」 私は「お姉ちゃんは早いね」
「あたりまえよ。今日も暑くなるよ。早く洗濯をしてから奉仕と仕事に行かないと、それに来週は巡回訪問
でしょう。」
「お姉ちゃんは元気だね」と言いながら姉の黒くて長い睫毛をみながら、なんて綺麗な目をしているの
この人は組織や、全てを信じているんだ。と思い 私は布団から出て台所の小さくて可愛いテブールに
行きました。
なんとなく姉が入れてくれる。コーヒのグラスを見ていると 突然に姉は「それは、そうと先日、家に電話
すると、ヒトミは帰らなかったよ。と、お母さんが言っていたよ。どこに行っていたの?」と言いました。
姉は細い綺麗な手から私にお茶を接ぎながら「ひとみ、ちゃと言いなさいよ。この間の日に健二さんの
車に乗るところを
佐伯姉妹が見ていて私に言ってきたのよ」 「えぇ・・佐伯姉妹が・・」
佐伯姉妹は少し年配の噂好きな姉妹です。 私は窓から見える 瀬戸内の綺麗な海を見ながら、どうしようと、あの日の事柄を回想していました。
あの日 私はぼんやりと牛窓の綺麗な静かな海を眺めていると健二さんの顔が私のまじかに迫っていました。私の中で、あの日の記憶が思いだされてゆきました。私はエホバの証人として 生きた人生の中で
母にたいして、また喜んで私達を送り出してくれた、以前の会衆の成員の人達の顔が走馬灯のように
私の脳裏に浮んできました。
突然の姉の声で私は今の現実の世界に戻ってきました。姉は「健二さんと何かあったの? ひとみ正直に
お姉ちゃんに話して・・」 私はただ黙って 赤く彩られたコーヒカップの中のミルクで白く濁った残りを
見つめていました。