大鹿靖明
2014年7月13日08時51分
ソフトバンクがロボットビジネスに参入する。ヒト型ロボットを家庭向けに売り出し、規格の異なるさまざまなロボットを駆動させる共通OS(基本ソフト)も開発した。米携帯電話大手を買収し世界的な通信大手に飛躍した同社が、なぜいまロボットなのか。唐突に見えた新事業には、4年もの周到な準備があった。
■社内コンペ契機
登壇した菅沼美和氏は絶叫した。「日本の少子高齢化を解決するのはロボットです」。ふだんは寡黙なウェブデザイナーの彼女が、スライドをめくりながら感情を込めて訴える。
2010年6月10日、都内のソフトバンク本社25階で行われた「新30年ビジョンコンテスト」の決勝戦。創業30年を迎える同社が次に何をなすべきか、2万3千人の全グループ社員に募った新事業の提案会だ。
「ロボットの企画、仕入れ、プログラムの開発・インストール、そしてレンタル。上流から下流まで握るんです」。そこでたたみかける。「ソフトバンクの得意とするところでしょ!」
その様子に、孫正義社長ら集まった約200人が笑い転げる。決勝に進んだ他の上位者がコンサルタント会社のような理づめの発表をするなか、優勝を決めた菅沼氏は異彩を放った。
この日を境に、ソフトバンクは一気に動き出す。
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