Facebookではポジティブなことしか書いてはいけない理由

えふしん | (株)想創社 代表取締役

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Webサービスの運営者から見て、Facebookはグロースハックの塊みたいなサービスだ。グロースハックとは、サービスを成長させるために、あれやこれやと手を変え品を変えて、ユーザを増やす努力すること。

まだ日本でFacebookが流行る前に、こういう話を聞いたことがある。

「Facebookは書き込みをしてもらう必要はない。とにかく実名でさえ登録しておいてさえもらえれば、勝手に友達から申請が来るようになって、写真のタグ付けを通じて関心をもたないわけにはいかなくなる」

と言う話。

つまり実名+写真SNSという関心引き寄せ装置としての構造がそこには存在し、実際に日本でも成功し、沢山使われるようになりました、と。

ところが、今起きている現象は、今度は、

「人と人とが近づきすぎる」

という問題が起きているようだ。

Facebookのタイムライン制御で、素晴らしいなと思うのは、その「バズを生み出す装置」だ。その一つのアイディアとして、

・最初の段階で全ての書き込みがあらゆる人に出るわけではない。

・誰かが「いいね」をつけたりコメントをつけると、その書き込みを評価したことになって、その「誰か」のタイムラインに乗る。(つまり友達の友達に知らされる)

・短期間に書き込みが集まると、話題の書き込みは上に出る(多分。2ちゃんねるで言う、「age」状態になる)

つまり、誰かが反応すればするほど、元の話題はどんどん沢山の人に注目されるようになる。

これを利用したのが、少し前ならゲームだったし、今はバイラルメディアということになる。このYahoo!ニュース個人でも数回、Facebookで沢山シェアされる書き込みを書いているが、Twitterやはてなブックマークよりも、質はともかく格段に閲覧される数が多いのは、この仕組がキレイに回っているからだ。

Twitterでもリツイートが繰り返されれば同じような現象が起きるのだが、リツイートは明確な「再配信」の意図が載っているのに対して、Facebookは、「いいね」という感情や、「コメントしたい」という感情に、再配信機能が上に乗っているのがポイントだ。

この素晴らしい機能、ポジティブな話題が、ポジティブに回っている時には、すごくよい仕組みなのだが、問題はネガティブな話題で盛り上がってしまった場合だ。

つまり、

「何か一言言わねば気が済まないセンシティブな話題」

になると、ネガティブがネガティブを呼ぶネガティブスパイラルを生む。

もし、うっかり発現でネガティブスパイラルを起こしてしまうと、発言者にとっては早く終わって欲しい話題も、どんどんどんどんいろんな人のコメントがつき、コメントがつけば、新たに沢山の人に見られることになる。さらに、そこから新しい印象が喚起されると、さらにレスが付く。話題によっては「この速度だから言える」みたいな現象も起きるだろう(野々村議員騒動がまさにそれ)

2ちゃんねるに例えると、常にみんなが「age」をつけながら書く状態になる。

このバズを生み出す装置がFacebookの強みであるからして、そこにネガティブかつ物議を醸し出す話題を「うっかり」投入するのは、結構リスクが高い。

一度そうなってしまった書き込みを収拾をつけようとすると、これはもう公開範囲を狭めるしかない。

一応、僕は古くからネットワークをやっている人間なので、「一度送った書き込みは公にされたものなので、もう消してはいけない」という常識の中で育ってきた。

よって、公開範囲を狭めるだとか削除するなどと言った行為には抵抗があるのだが、Facebookの場合は、実名で出回ってしまうわ、古い書き込みがたびたび話題になって、「それ1年前の話ですよ」みたいなレスが後を立たないことから、ここにネガティブな書き込みを置いておくのは、「自分の人生にとって不利」ということがわかった。

結論としては、

「Facebookは、ドヤ顔できる話題しか書いてはいけない(書かない方がいい)」

ということになります。

Facebookは、沢山の人に「いいね」をつけてもらい、沢山の人に「ポジティブなコメント」をつけていただくことで、その友達の友達にどんどん広がってくれる。これは誰でも嬉しいこと。だから広がりそうな話題は、自慢できる話題が望ましい。

公開範囲を狭めた情報交換、批判や悪口や愚痴みたいなものは、まぁ、別にFacebookでもLINEでも飲み会ででも好きなところで共有してもらうとして、個人的には、そういうのをオンラインでやりとりすることに一切興味が無いので、そこの話は皆さんお好きにやってください。

ではなくて、ある種、沢山の人に共有したい、意見を聞いてもらいたいなどと言ったものについて、少しでも物議を醸し出しそうな話題を自分の名前で書くのは、少しFacebookでは力が強すぎるように思えます。

それならもっと公開の場を前提としたブログで書いたURLを共有することをオススメします。Facebookのメンタルモデルにある「友達に言ってるつもり」でぶっちゃけトークを書くのは、内容によっては結構リスクが高いようです。

Facebookのコミュニケーション設計は、本当に革命的なサービスだと思います。この距離感の作り方こそが10億人以上のユーザを集める秘密の1つですね。勉強になります。

しかし、こういう情報共有社会は今後どうなっていくのだろうかと考えるばかりです。

モバイルはもちろん、Oculusなどに代表されるVR技術などの身体性に訴える手段も含めて、究極的には脳と脳がどれだけ近づいていくかという話だと思っているのですが、でも、本当に他人の脳と脳がシンクロすると、おそらく黒すぎて発狂して生きていけないと思うので、そこまで行くことは多分無理。だから「社会性」や「大人」というフィルターの先で情報交換せざるを得ないのは間違いないと思っていますが。

とりあえず一度ぐらい「スマホ不況」が来るかなとは思っています。スマホによる自動情報共有が過度になり、今、情報を繋げやすい家族とシンクロされることで、大人の行動が制限されて、さまざまな産業が不況になり潰れていくと言う現象です。特に風俗的な産業(キャバクラとか)は、致命的なダメージを受ける日が来るのではないかと漠然と思っています。それはそれで人類の進化の道なのだと思います。そこで反乱が起きるなり、そういう流れに従属するなり、さらに新しい産業が出てきて、新しい道が見えてくるのでしょう。

20代に彼女ができない草食化も、友達間の過度な情報共有が原因で「チャレンジできない」「失敗できない病」に陥ってるのではないか!?と思ってたりします。友達同士の距離が近すぎると、空気を読みすぎて友達コミュニティの中で抜け駆けできない状態になってはいないでしょうか!?根拠があるわけではありませんが、誰か研究していただけますと幸いです。

えふしん

(株)想創社 代表取締役

FA装置メーカー、Web制作のベンチャーを経て、2006年にGMOペパボへ。ショッピングモールサービスにプロデューサーとして携わるかたわら、2007年からモバイル端末向けのTwitterウェブサービス型クライアント『モバツイ』の開発・運営を個人で開始。モバツイ譲渡後、2012年11月6日に想創社設立。想創社ではモバイル・アプリサービスの「ShopCard.me」を運営しながら、モイ株式会社にてTwitcastingのPRディレクター、BASE株式会社の技術顧問も勤める。また、慶應義塾大学メディアデザイン研究科 後期博士課程の学生でもある。

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