桑田佳祐が7月11日と12日に東京・TOKYO FM HALLにて、公開収録ライブ「SMBC presents 桑田佳祐のやさしい夜遊び~夏にサザンないの!? いいかげんに1000回!! ファンやめたるわ!! 生歌ライブ~」を開催した。
今回のライブは、桑田がパーソナリティを務めるJFN系ラジオ番組「桑田佳祐のやさしい夜遊び」が放送1000回を迎えたことを記念して、番組を支えているリスナーへの感謝を伝えるべく企画されたもの。2日間で計1000名が招待され、各日ともに2時間にわたる桑田のステージを堪能した。なおこの記事では初日公演の模様をレポートする。
「桑田!」「愛してるよー!」といった熱烈な声援や、拍手に迎えられる形で桑田がステージに登場。自身のソロ曲「古の風吹く杜」をゆったりと歌い、オーディエンスを歓迎した。人前でのパフォーマンスはひさしぶりのため「緊張してるの」と曲中にこぼす桑田だが、そんな雰囲気はにじませず艶のある歌声を響かせる。この日、桑田を支えたのは原由子(Key)、斎藤誠(G)、琢磨仁(B)、小田原豊(Dr)、片山敦夫(Key)、角谷仁宣(Manipulator)という手練たち。1曲目を歌い終えた桑田は「この日のために集まってくれたメンバーでして」と仲間を紹介し、「いろんな曲をやります。番組の生歌コーナーの延長戦です」とライブの主旨を説明。ラウンドガールが「サザンコーナー」と書かれたボードを持って登場したことをきっかけに、名曲づくしの「サザンコーナー」が始まる。「茅ヶ崎に背を向けて」に始まり、「栞(しおり)のテーマ」「Oh!クラウディア」と懐かしい曲の連続に、オーディエンスは大興奮。桑田は「サザンが今年の夏にないことを反省してます」と謝罪しながら、自身が生み出したナンバーを丁寧に歌い上げた。次のコーナーに入る前に桑田は年末にサザンとして年越しライブを開催すること、9月にシングルをリリースすることなどを報告する。「アルバムを作ってるの。年越しライブまでには終わらせて来年には……」と口にしファンを喜ばせた。
うれしい報告に続いた「邦楽~真夏の名曲コーナー~」では、「恋のバカンス」や「真夏の出来事」といった往年の名曲や、「青い珊瑚礁」「夏のお嬢さん」といったポップチューンを熱唱した桑田。ビキニ姿のダンサーが登場するとその声に一層気合いが入る。コーナーの最後を飾った「君といつまでも」では、大先輩・加山雄三の喜寿を歌で祝福した。
中盤では桑田の趣味全開のコーナーが2連発で展開されていく。最初の「お客さん置いてきぼり、ビートルズコーナー」では、「Hello, Tokyo! Next song is “涙の乗車券”.」など外国人アーティストのような片言の日本語で曲紹介をするなど茶目っ気を見せつつ、世界中で愛されるThe Beatlesの名曲を次々と披露。桑田流の味付けを施した名曲に、フロアを埋め尽くしたオーディエンスは熱狂する。続けて「さらにディープに、お客さん放置プレー…エリック・クラプトンコーナー」に突入するも、コーナータイトルとは相反して会場は大盛り上がり。ファンは桑田の色気のある歌いっぷりに拍手を送り、「Layla」のギターイントロが響いた瞬間に怒号のような歓声を上げる。その反応を受けてか、桑田のシャウトにも磨きがかかっていた。
本編のラストに用意されたのは桑田の名曲や、ヒットソングを織り交ぜたサービスたっぷりのコーナー。セクシーなダンサーとの魅惑的な絡みが繰り広げられた「Yin Yang(イヤン)」に始まり、盛大な「スケベ」のコール&レスポンスが沸いた「スキップ・ビート(SKIPPED BEAT)」、そして会場に一体感をもたらした「幸せのラストダンス」を経てヒットメドレーに突入した。「天国への階段」の哀愁たっぷりのイントロに乗せて、桑田が童謡の「赤い靴」を切々と歌唱すると笑い声が起こる。さらにメドレーでは映画「アナと雪の女王」の劇中歌「Let It Go ~ありのままで~」や、原がメインボーカルを務めたAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」が会場を盛り上げた。最後は「波乗りジョニー」で会場全体がハッピーな空気に包まれる。そしてアウトロで桑田は観客とともに大きくジャンプし、メドレーを含め全27曲で構成されたライブの本編を締めくくった。
アンコールは再びサザンの名曲を熱唱した桑田。「こうやってまたお会いできる日を楽しみにしております。気候が荒れてますが、気を付けてください」「横アリで待ってますんで!」「必ず再会すると信じて楽しみにしてます」と観客と何度も約束し、ファンへの感謝を込めて「心を込めて花束を」を子守唄のように優しく歌い上げた。