「号泣会見」で内外に話題を振りまいた兵庫県議会の野々村竜太郎氏が議員辞職に追い込まれました。騒動の発端となった政務活動費をめぐる疑惑はあいまいなまま。東京都議会の「セクハラやじ」に続き、「議員の資質」や「議会の品位」が問われる事態となりました。地方議会は大丈夫なのでしょうか。
■未熟さ露呈した野々村氏
野々村氏は2011年4月の兵庫県議選に西宮市選挙区から立候補し、最下位で初当選した新人議員。選挙では「西宮維新の会」を名乗りながら橋下徹・大阪市長の「大阪維新の会」とは無関係で、当選後は無所属議員として活動してきました。
自身が代表を務める政治団体は「西宮希望の女神」や「地域政党最後の希望」などと名付け、事務所は自宅、会計責任者も本人。年195回の日帰り出張などが問題となった政務活動費の処理も1人で行い、周囲の助言やチェックを受け付けていなかったようです。
そして世間があっけにとられた号泣会見と、その後の雲隠れ。元公務員という経歴ですが、議員としてはあまりに未熟だったと言わざるを得ません。
■新人議員の当選割合が増加
野々村氏のような議員は地方にどれだけいるのでしょうか。総務省の統一地方選に関する調査から、平成以降に当選した都道府県議、指定都市の市議、東京都の区議(特別区議)について、新人と現職、元職の割合を計算してみました。
すると、1991(平成3)年と95(平成7)年では21%台だった新人議員の割合が2000年に入って23%台に伸び、野々村県議が当選した前回の統一選では24.7%にまで増えていることが分かりました。議員定数が削減傾向にある中で、絶対数も2000年代から新人議員は1000人を超え、一方で現職議員は前回2011年に初めて3000人を割り込んでいたのです。
指定都市以外の市議や町村議員までを含めると、ここまで明らかな変化は出ませんので、都市部で顕著な傾向だと言えるでしょう。しかし無党派層の拡大や地域政党の乱立などを見ると、新人議員の増加は今後、全国的にも広がっていくと考えられるのではないでしょうか。