ベネッセ情報流出:持ち出し直後に売却 シンフォームから
毎日新聞 2014年07月12日 08時00分
通信教育大手ベネッセホールディングス(岡山市)の顧客情報漏えい問題で、顧客データベースの保守管理を再委託されていた会社の従業員が情報を持ち出したのは、昨年末だったことが関係者への取材でわかった。東京都内の名簿業者が、遅くとも今年1月ごろには情報を入手していたことも判明。警視庁は、従業員が初めから売却目的で情報を持ち出し、直後に名簿業者に売却したとみて不正競争防止法違反(営業秘密の複製・開示)容疑で捜査している。
また、顧客データベースは保守管理を担当するグループ企業の「シンフォーム」東京支社(多摩市)に置かれ、再委託先の従業員はここから情報を持ち出したとみられることもわかった。従業員はベネッセ側から貸与されたパソコンを使って大量の情報をダウンロードしており、データはUSBメモリーなどの記憶媒体に移して持ち出したとみられる。
関係者によると、昨年末、顧客情報をデータベースから複数回ダウンロードした履歴がベネッセのサーバーに残されていた。ごく限られた再委託先の従業員やベネッセグループの社員には、個々にIDとパスワードが与えられ、データベースにアクセスする権限があった。しかしデータは厳重に管理されており、データベースを扱う端末が設置された部屋には担当者以外は出入りできないようになっていたという。従業員はこの部屋に入室し、顧客情報を複数回にわたり取り出した疑いが持たれている。
持ち出された顧客情報は都内の複数の名簿業者の間で転売されており、東京都武蔵野市の名簿業者「パンワールド」は今年1月ごろ、顧客情報を購入したとされる。パンワールドは毎日新聞の取材に「同業他社から買った」と説明しており、ベネッセから情報を持ち出した従業員が、直後に名簿業者に持ち込んだとみられる。
この後、東京都福生市の名簿業者「文献社」が5月中旬にパンワールドから約230万件の顧客情報を購入し、5月21日に通信事業を手掛けるソフトウエア会社「ジャストシステム」(徳島市)に転売した。ジャストシステムはこの情報を、通信教育のダイレクトメール(DM)を送るのに使っていた。
警視庁は同支社に出入りする関係者を中心に捜査を進め、顧客情報の売買が行われた都内の名簿業者からも事情を聴いている。ベネッセは刑事告訴の準備を進めている。【林奈緒美、斎川瞳、神保圭作】