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事件
【主張】ガザ戦闘 流血の拡大を食い止めよ
またも爆音と黒煙、流血と悲嘆の光景だ。
イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区への本格的軍事作戦を開始し、ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスとの戦闘が激化した。
イスラエル軍の空爆でパレスチナ住民多数が命を失い、イスラエル側でも国民がハマスのロケット弾の恐怖におびえている。
双方とも、これ以上、流血を拡大させないように、直ちに攻撃を停止しなければならない。
引き金は陰惨な事件だった。先月中旬、イスラエル人少年3人が拉致・殺害され、イスラエル側はハマスの犯行と主張した。
今月初めには、パレスチナ人少年1人が連れ去られ焼死体で発見されるという、報復とみられる事件が起きた。イスラエル当局はイスラエル人容疑者たちを拘束し、法で裁こうとしている。
だが、パレスチナ人は憎悪を募らせ、抗議デモから、ロケット弾攻撃と空爆の応酬へ発展した。
イスラエルのネタニヤフ首相は11日、平穏が戻ったと国民が確信するまで作戦を継続すると表明した。同国軍は予備役兵を招集、ガザ境界付近に戦車部隊を配備し地上侵攻の構えも見せている。
2008年暮れから翌年にかけてのガザの戦闘では、イスラエルの地上部隊投入で1400人余のパレスチナ人が犠牲になった。惨劇を繰り返してはならない。
国連安保理の緊急会合で「(戦闘の)全面拡大の危機」(潘基文事務総長)という認識が示される中、イスラエルとパレスチナの代表は相互非難に終始している。
国際社会は結束して、双方に強く自制を求めるべきだ。
シリアでは内戦がやまず、同国とイラクにまたがる地域にイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」が支配を広げ、国境線変更もあり得る状況だ。中東のさらなる混乱は何としても避けたい。
米国の仲介で1年前に再開したイスラエルとパレスチナ自治政府との中東和平交渉は、具体的な成果を出せないまま中断した。最大の要因は、両者の信頼関係が築けなかったことにある。
オバマ米政権は、シリア内戦で打つべき手を打てず、そこで勢いを得た「イスラム国」のイラクでの台頭になすすべもない。
パレスチナ問題を政権の中東政策の正念場と位置づけ、今度こそ指導力を発揮してほしい。
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