ガザ:イスラエル軍、予備役2万人を招集
毎日新聞 2014年07月11日 21時50分(最終更新 07月11日 22時03分)
【カイロ秋山信一、ガザ市(パレスチナ自治区)大治朋子】イスラエル軍は10日、イスラエルとの境界に近いパレスチナ自治区ガザ地区中部東側の住民数千人に退避するよう警告した。イスラエルメディアが伝えた。イスラエル軍広報官は、予備役2万人を招集していることについてロイター通信の取材に「地上戦に備えての招集だ」と話し、地上侵攻もありうるとの見解を示した。
イスラエルのテレビ局「チャンネル2」は退避警告の狙いについて、地上戦でガザ中部の東側から侵攻する可能性があると指摘する一方、地上戦が近いと印象付ける狙いもあるのではないかと伝えた。同局が最近行った世論調査では、47%が地上戦を支持しないと答え、支持するとした42%をわずかに上回っている。
一方、パレスチナ自治政府のアッバス議長は10日夜、演説で「どちらが戦闘を始めたかではなく、流血の事態をいかに防ぐかだ」と語り、双方に停戦を呼びかけた。また、ケリー米国務長官やトルコのエルドアン首相と対応について協議したと明らかにした。
また、ロイター通信によると、レバノン南部で11日、イスラエルに向けて5発のロケット弾が発射された。うち2発がイスラエル領内の農場近くに着弾し、イスラエル側も25発の砲弾で反撃した。人的被害はないという。犯行声明は出ていない。レバノン南部はイスラム教シーア派武装組織ヒズボラの勢力が強いが、パレスチナ武装組織の拠点もある。パレスチナ自治区ガザへの空爆に関連して、こうした勢力が攻撃した可能性もある。
イスラエルではガザからの攻撃を避けるため、北部に移動し始めた住民もいる。北部が攻撃を受けたことで、国民の間では事態打開を求める声が高まりそうだ。